理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 673
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内部障害系理学療法
食道癌根治術における呼吸訓練プログラムの検討
*大谷 真由美中土 保大杉 治司
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キーワード: 食道癌, 呼吸訓練, 呼吸機能
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抄録
【目的】食道癌根治術における呼吸訓練の共通プログラムを作成し、施行した結果についてその達成度から検討した。
【方法】対象は2003年9月から2004年8月までに食道癌根治術を施行した男性36名、女性4名の40名で、平均年齢は62.1歳。術式は食道切除術、再建、3領域リンパ郭清術が一期的に施行された根治術で、開胸術による切除術20例、胸腔鏡による切除術20例であった。共通プログラムは術後1日目から呼吸練習、咳嗽補助を含めた排痰練習と動作練習を行い、経時的に内容を変えて進めた。共通プログラムにおける目標動作として1日目ギャッジアップ坐位、3日目端坐位、4日目立位、5日目酸素吸入下歩行、7日目酸素なし歩行、10日目院内歩行とし、動作毎に達成度を5段階で表した。ランク0は予定日より早くに動作が可、1は予定日に可、2は予定の1日遅れで可、3は予定の2日または3日遅れで可、4は3日以上遅れで可とした。プログラムは酸素なしで院内歩行が可能であること、喀痰喀出に問題ないこと、歩行中の呼吸困難感がないことを確認した上で終了とした。また術後からPT終了までの日数について10日以内の終了を早期群、11日から14日以内終了を予定群、14日以上で終了の遅延群の3群に分類し、術前呼吸機能値と終了日数との関連性を分散分析を用いて検討した。
【結果】動作の達成度は、術後1日目坐位のランク0と1は39例98.5%、以下同様に端坐位は33例82.5%、立位のランク0と1は31例75%、酸素歩行は28例70%、酸素なし歩行は29例72.5%、院内歩行は32例80%であった。術後のPT終了日数による分類は、早期群12例、予定群19例、遅延群9例であった。術前の肺活量、%肺活量、1秒量、1秒率との関連性は、1秒量が早期群で有意に高値で、遅延群で低値であった。(p<0.005)
【考察】共通プログラムの目標動作は、坐位から院内歩行までの経時的動作の達成度から、全て70%以上であったことより妥当であったと考える。到達不可の原因としては、多くが呼吸機能の低下(主に動脈血酸素分圧の低下)、反回神経障害を含む咳嗽力の低下、喀痰量の増加であった。術後4日目立位のランク2で創部痛、術後5日目酸素歩行のランク2で、予定日が休日であったことが各1例見られた。酸素なし歩行・院内歩行でのランク2は1例で不整脈、ランク3から4で1例で胸腔ドレーンの再挿入、1例が反回神経障害による肺炎が見られた。終了遅延群の術前呼吸機能は、1秒量が7例で2500ml以下で、6例で反回神経障害が見られた。術後反回神経障害が見られても、術前の1秒量に著明な低下が無ければ重篤な経過にはならない傾向であった。
【まとめ】食道癌根治術後の共通プログラムと、回復を阻害する要因について検討した。
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© 2005 日本理学療法士協会
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