理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1203
会議情報

内部障害系理学療法
6分間歩行試験の歩行コース形態による比較検討
*田邊 康二鶴見 政明永島 知明箕輪 都志美川邊 寿代米原 紀子高橋 真希子高尾 敏文斉藤 秀之鈴木 祥司飯田 啓治飯田 要小関 迪
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】
 6分間歩行試験(6MWT)は、中等度から重度の心疾患・呼吸器疾患患者の日常における機能障害を測定する方法のひとつとして知られている。本法は実施が比較的容易であるが、自由歩行による測定のため結果が不安定になりやすい。アメリカ胸部疾患学会ステートメント(ATS)は、2002年に測定結果の再現性を得るため検査手順を標準化している。その後、歩行コースは30mの直線を用いることを原則としているが、多くの医療施設では場所の確保が難しいのが実状である。我々は健常者を対象に通常行われる直線型(60m/周)に加え、新しく考案したL字型(60m/周)と8の字型(30m/周)の3種類の歩行コースについて、6MWTを測定し比較検討した。
【対象と方法】
 計画を説明し同意を得た健常者26名(男性14例、女性12例、平均年齢23±2歳)を対象とした。6MWTはATSの標準プロトコールに従い、各自3コースを実施した。安静時と終了直後に心拍数(HR)を測定した。万歩計による歩数と歩行距離(WD)も測定した。また、これらのデータから歩幅の平均値(SL;距離/歩数)と%HR(HRmax法を使用)を算出した。統計学的検討は各コース(3群)の項目ごとに多群間の分散分析(Bonferroni/Dunn法、有意水準5%)を行った。
【結果】
 %HRは直線群75.5±12.0%、L字群77.3±10.4%、8の字群は74.6±11.0%であった(NS)。WDは直線群724.5±71.3m、L字群775.6±76.6m、8の字群738.6±60.7mであり、8の字群とL字群、直線群とL字群に有意差を認めた(p<0.05)。SLは直線群76.6±6.2cm、L時群79.1±5.9cm、8の字群80.4±6.9cmであり、8の字群と直線群に有意差を認めた(p<0.05)。8字群は他群と比較しSLが増加していた。
【考察】
 6MWTにおける%HRは3群とも同程度の運動強度で実施できていた。SLはL字群と他群間で有意差が認められず、WDでは L字群で8の字群や直線群のそれぞれと比較すると40~50m程度の延長を示していたため、従来から考えられていた方向転換による減速に大きく影響していないと思われた。WDにおける群間の比較では、8の字群と直線群に有意差は認めなかった。このことは直線型歩行コースの代用に8字型が類似すると思われた。

著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top