理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 171
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生活環境支援系理学療法
要介護移行リスクを持つ在宅生活自立高齢者を対象とした介護予防教室における効果
*樋口 由美渡辺 丈眞渡辺 美鈴松浦 尊麿
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キーワード: 介護予防, 移動, 転倒恐怖感
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抄録
【はじめに】地域高齢者の要介護状態への移行を防ぐことを目的に、そのリスク要因とされている転倒、閉じこもりに焦点を当てた介護予防教室を実施し、転倒恐怖感および移動能力から短期的効果について検討した。
【対象・方法】一農村地域において、事前に実施したアンケート調査と移動能力測定結果から、介護保険非利用者でADLはすべて自立しているものの、転倒および閉じこもりリスクを有する者を対象とした。教室は送迎バスを用意し、2004年1月から3月まで3ヶ月間週一回(延べ12回)行い、初回と最終回に評価を実施した。移動能力は5m通常歩行、Timed Up & Go test(Up & Go)、コップの水をこぼさないように行う課題付加Up & Goを測定した。転倒恐怖感はTinettiらが提案したFalls Efficacy Scale(40点満点で高得点ほど自己効力感が高い)を用いた。プログラムの第一段階は身体の可動性拡大をねらう歌体操、第2段階はバランス機能および低負荷筋力トレーニングを行った。痛みを有する者にはホットパックを併用し、個別評価に基づく家庭内指導を全員に実施した。初回評価時の参加者14名のうち最終回まで参加継続した12名(男性3名、女性9名)、平均年齢79.7歳(68-90歳)の評価項目の平均値について初回と最終回とで比較した。
【結果・考察】5m通常歩行は8.9秒から7.0秒(改善率11.9%)、Up & Goは17.8秒から14.9秒(16.8%)、課題付加Up & Goは21.6秒から17.7秒(17.3%)と、移動能力全ての平均値が改善を示した。一方、転倒恐怖感の得点は30.8点から29.8点へ低下した。次に、移動能力の改善度について、年齢、期間中の転倒経験、疼痛、転倒恐怖感による比較を行った。80歳未満(n=5)と80歳以上(n=7)の2群間では5m通常歩行(6.1%:17.1%)、Up & Go(8.4%:16.9%)、課題付加Up & Go(13.8%:16.3%)を示し、高齢ほど移動能力の改善を認めた。期間中の転倒なし(n=8)と転倒あり(n=4)の改善度は2群間に大差を認めなかった。疼痛が改善傾向(n=7)と不変・増悪傾向(n=5)の2群間の改善度は5m通常歩行(19.3%:-2.5%)、Up & Go(20.4%:3.6%)、課題付加Up & Go(20.5%:7.8%)であり、移動能力の改善には疼痛を個別に評価・対応していく重要性が示された。転倒恐怖感が改善傾向(n=7)と増悪(n=5)の2群間では、5m通常歩行(11.3%:12.5%)、Up & Go(20.8%:12.1%)、課題付加Up & Go(24.8%:8.4%)で、転倒恐怖感の改善は移動能力の測定課題がより複雑な課題になるほど明らかであった(課題付加Up & Goのみp=0.058)。
【まとめ】80歳以上の要介護移行リスク者においても今回のプログラムは有効であるものの、疼痛をマネジメントすることが重要であり、注意力を反映するとされる課題付加Up & Go は転倒に対する自己効力感と関連することが示された。
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© 2005 日本理学療法士協会
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