理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 217
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生活環境支援系理学療法
北海道における訪問看護ステーション調査(第3報)
―管理者の訪問リハビリに対する意識について―
*湯元 均中村 圭吾
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抄録
【はじめに】北海道において訪問看護ステーション(以下ステーション)管理者の訪問リハビリに対する考え方と、理学療法士・作業療法士(以下PT・OT)による訪問リハビリの提供程度を調査することにより、訪問リハビリの普及啓発の一助とするために道内の全ステーション管理者に対しアンケート調査を実施した。その結果、今後検討すべき若干の知見を得たのでここに報告する。
【対象および方法】平成16年7月現在で道内に開設されている全239ステーションの管理者に対し、同年8月に郵送調査法にて実施した。このうち168ステーションから有効な回答があった(有効回答率70.3%)。調査項目は、1.訪問リハビリ提供の有無、2.訪問リハビリ業務における関わり方への認識、3.リハスタッフの専門性発揮度合、4.所属スタッフの活動評価、5.未提供事業所の訪問リハビリへの期待、6.未提供事業所の配置しない理由、等とした。なお、検定はt検定を用い、有意水準を5%未満とした。
【結果および考察】訪問リハビリ提供事業所管理者が感じる専門性の発揮分野と未提供事業所管理者が期待する専門性の発揮分野を対比すると以下のようになった。ADLやAPDLなどへの専門的アプローチに代表される直接業務39.3%:52.0%、評価や目標設定などの利用者への評価・実施計画業務35.0%:30.9%、住宅改修時の助言や研修講師などの助言・指導業務22.2%:10.5%であった。また、未提供事業所が提供していない理由としては、経営・採算性の問題24.6%、応募がなく採用できない26.3%、他施設のリハサービスで対応中26.3%、利用者確保が困難12.3%であった。また、訪問リハビリ提供事業所管理者が感じる専門性の発揮分野として、個別直接業務を挙げている管理者は、ステーションにおける「リハビリテーションの実施」について45.0%が「PT・OTが本来かかわるべき」としているのに対して、指導・助言・連携等の間接業務を挙げた管理者は、「PT・OTが本来かかわるべき」と答えた者は僅か10.0%であり、有意な差を認めた。また、常勤換算配置数は個別直接業務を挙げた事業所は1.27±0.8人であったのに対し、間接業務を挙げた事業所は0.77±0.65人であり、有意な差を認めた。しかし、両者間にリハスタッフのマンパワーに関する充足感の差は認められなかった。
 以上のことより、訪問リハ提供事業所管理者が訪問リハビリスタッフの専門性を個別直接業務に主眼をおいた場合、常勤換算での人員はより多く配置し、PT・OTの獲得困難な事業所では、直接業務よりも、協業・連携等の間接業務に重点をおき、広く多くの利用者へのサービス提供を行っているものと考えられた。発表では、未提供事業所管理者の訪問リハビリに対するとらえ方も併せて報告し、管理者の訪問リハビリに対する意識をより明確にしたい。
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© 2005 日本理学療法士協会
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