抄録
【目的】
物理療法が末梢循環に影響を与えることが報告されているが、ストレンゲ-ジプレチスモグラフィ-による末梢循環を測定した研究は少ない。本研究の目的は、安静時前腕動脈流入量 (Forearm Arterial Inflow: FAI) の被験者内再現性を捉えることである。
【対象と方法】
被験者は健常成人20名 (男性10名, 女性10名, 平均年齢24±4.3才) とした。ヘルシンキ宣言と医薬品の臨床試験の実施の基準に準じて被験者には口頭による十分な説明を行い、自由意思による同意を文書で得た。FAI測定にはD.E.Hokanson社製EC5Rストレンゲ-ジプレチスモグラフを使用した。室温を24から25°Cで一定に保ち、右前腕最大周径部にマ-キュリ-ストレンゲ-ジを装着、テ-プで固定した。マ-キュリ-ストレンゲ-ジの太さは、前腕最大周径から2から4cm引いた値とした。上腕に上腕用カフを巻き、手掌を心臓の高さにしてリラックスした安静背臥位を最低20分間とった。静脈閉塞圧を50mmHg、加圧時間を7秒として2分間隔で合計20分間右FAIを測定した。FAI測定と解析にはNoninvasive Vascular Program 3 (Ver 5.29) を使用した。その他の副次的評価項目として平均血圧、心拍数 (オムロン社製自動血圧計HEM757)、指尖皮膚温度 (安立計器株式会社製AP300) を3分間隔で測定した。統計学的解析にはSPSS for Windowsリリ-ス11.5.1Jを使用し、FAIの級内相関係数 (Intraclass Correlation Coefficients: ICC) を算出した。
【結果】
20分の測定内でのICC (1,1) は0.88 (95% CI, 0.80 to 0.94) で、ICC (1,10) は0.99 (95% CI, 0.98 to 0.99) であった。平均血圧、心拍数、指尖皮膚温度の変化はほとんどなかった。
【考察】
20分安静後に2分間隔でFAIを測定すると、1セッション内では高い再現性を示した。また、10回測定の平均値を用いた場合には極めて高い再現性があることがわかった。マ-キュリ-ストレンゲ-ジに温度刺激が加わらなければ、同一被験者で物理療法実施前後の前腕動脈流入量の変化を捉えるのに適していると考える。
【まとめ】
ストレンゲ-ジプレチスモグラフィ-によるFAI測定の被験者内再現性は高く、同一被験者で物理療法実施前後の前腕動脈流入量の変化を捉えるのに適していることが示唆された。