理学療法学Supplement
Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1171
会議情報

教育・管理系理学療法
「医療安全推進週間」における理学療法科の取り組みとその評価
*山下 淳一磯 毅彦掛端 記代子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】当院リスクマネジメント委員会(以下、委員会)は、平成13年5月より活動を開始し、年2回の職員研修や報告書の整備などを通じ院内リスクマネジメントに努めている。今年度、委員会では初めて「医療安全推進週間」(以下、安全週間)を設け実施した。そこで今回、理学療法科(以下、PT科)におけるその取り組みについて報告し、「安全週間」を振り返る。
【当院の概要】当院は、一般病棟2病棟、回復期リハビリテーション病棟2病棟、療養型病棟2病棟を有する320床のリハビリテーション専門病院である。患者層は脳卒中患者7割、関節リウマチ患者2割、その他1割。PT科職員は34名、病棟担当制をとっている。
【「安全週間」の目的と目標設定】職員のリスクに対する意識を高め、事故件数を軽減させる事を目的とした。期間は1週間。事前に、過去に寄せられたインシデント・アクシデント報告内容(以下、報告内容)を検討した。それに基づき、院内各部署において各々活動目標を設定した上で具体的活動を行った。
【当院報告内容の特徴】平成15年度報告において、院内総数1091件(うち理学療法科32件)であった。内容別に見ると「転倒・転落」によるものが最も多く、66%を占めていた。PT科においては発生件数23件で、実に71.9%を占め、また、その発生場所の64%が理学療法室内であった。
【PT科の「安全週間」への取り組み内容】報告内容を検討した結果、PT科における行動目標を、「転倒・転落事故防止」とした。具体的活動は以下の通りである。1.ゼネラルリスクマネージャーによる「危険予知トレーニング(KYT)」研修(期間前)。2.行動目標・計画の職員への周知徹底(安全週間初日)。3.PT科職員全員による行動目標の指差し確認・唱和(期間中毎日)。4.「転倒・転落防止ポスター」の掲示(期間中)。5.リスクマネジャーによる「転倒・転落について」の講義。6.チェックリストを用いた始業時、終業時の機器の安全点検実施。また、期間終了後事後評価とし、「安全週間」に関するアンケート調査を実施した。
【結果および考察】結果、期間中PT科における転倒・転落発生報告書提出件数0件、その他の報告書件数も0件であった。さらに、今回具体的数値には示す事ができなかったが、PT科職員に「決して無理をせず安全に行う」など臨床場面における行動の変容が起こった。アンケート調査では、「活動は今後に活かせるか」との問いに対し78%が「活かせる」と答えた。一般に、「リスクマネジメントは教育活動そのものだ」と言われている。さらに職員教育は「動機付けができれば、成功したも同然」ともいわれている。今回実施した「安全週間」により、臨床場面に即したリスク意識に対する動機付け・教育・訓練ができ、量的・質的にも効果が得られたと思われる。今後、さらに院内リスクマネジメントに寄与していきたい。

著者関連情報
© 2005 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top