理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 316
会議情報

骨・関節系理学療法
超音波画像における頚半棘筋評価の試み
*足立 真齋藤 昭彦田村 清隆
著者情報
キーワード: 頚半棘筋, 超音波, 頚部
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】体幹筋群をグローバル筋(体幹浅層にある大きな筋群)とローカル筋(体幹深層にある筋群)に分けて考えた時、1つ以上の脊椎分節にまたがっているローカル筋システムの活動は、脊椎分節の安定性を供給する上で極めて重要である。頚部の分節的安定性に必要とされる頚部の深部筋に対するトレーニング方法およびその効果に関して科学的根拠を記した報告は少ない。頚半棘筋は頚部ローカル筋群に属し、頚部の分節的安定性に関与するとされるが、頚部の深部に位置するため従来の徒手筋力検査法ではこの筋のみに焦点を当てて評価することはむずかしい。先行研究により腰部のローカル筋群である腹横筋の超音波画像上の筋厚の変化と針筋電活動量との間に強い相関があることが知られており、頚半棘筋に関しても超音波画像上から筋活動量を推定することが可能であることが示唆される。本研究では頚半棘筋の筋活動を超音波画像から推定する前段階として、超音波画像から頚半棘筋を特定することを目的とする。
【方法】対象は健常男性1名とし、研究の主旨と方法に関しての説明を十分に行い、承諾を得て実施した。超音波診断装置はTOSHIBA製CAPASEE SSA-220Aを使用、プローブはTOSHIBA製コンベックスタイプ3.75MHz R40を使用する。検査肢位としてはベッド上背臥位、頭頚部の可動域は各々0度とした安静肢位とした状態で、対象者の第5頚椎棘突起と第6頚椎棘突起の間の水平断面画像を、超音波診断装置を用いてイメージングした。画像上で頚半棘筋、多裂筋、C6頚椎棘突起を同定した。
【結果】超音波画像から、頚部後面にC6頚椎棘突起と椎弓、片側4層の筋を確認することができた。超音波画像とCT scan画像での頚半棘筋、多裂筋、C6頚椎棘突起の形状と位置的関係が類似していた。また軽度の等尺性頚部伸展を行なわせた場合、頚半棘筋や多裂筋と思われる部分の形状は、楕円形から円形に変形することが確認された。
【考察】超音波画像とCT scan画像での頚半棘筋、多裂筋、C6頚椎棘突起の形状と位置的関係の類似性が確認された。C6頚椎の高さでの水平断面において、解剖学的に椎弓より後面には主に筋組織のみが存在し、軽度の等尺性頚部伸展を行なわせた場合、頸半棘筋や多裂筋の形状が変化することから、これらの筋活動を画像上の変化として捉えられることが示唆された。
著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top