理学療法学Supplement
Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 449
会議情報

骨・関節系理学療法
開放型病床における術後理学療法の取り組み
高位脛骨骨切り術後から
*中村 睦美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】当院では平成16年より開放型病院の認可を受け、病床や検査・手術のための設備を地域の登録医に開放している。開放型病院の利点として患者はかかりつけ医に一貫した治療を安心して受けることができる。一方問題点として患者の自己負担増額、 登録医と病院スタッフとの連携困難、医療過誤の責任問題などが挙げられる。当院において登録医が変形性膝関節症(以下膝OA)における高位脛骨骨切り術(以下HTO)の執刀から治療における細かい指示までを行っているケースについて、理学療法(以下PT)進行上問題が生じており、スムーズでより良い医療を患者に提供するため取り組みを行った。そこで今回開放型病床におけるPTの取り組みの成果を調査したので報告する。
【問題点と取り組み内容】登録医との話し合いの場を設け意見交換を行った。治療が標準化されていない、情報交換不足などの問題点が出された。そこでクリニカルパス(以下CP)を作成、バリアンス対応のため各患者に対する「進行予定表」を作成した。さらに「連絡用紙」や「報告書」などの書面を活用し詳細に情報交換を行う、医師回診に同行するなど登録医と積極的に連絡を取り情報を交換することとした。
【対象と方法】対象は膝OAと診断され開放型病床にてHTOを受けた2004年4月から2005年6月までに取り組み前にPTが施行された旧HTO群10症例10関節 男性2名・女性8名 平均年齢69.2歳(62歳~74歳)、2005年7月から11月までに、取り組み後PTが施行された新HTO群3症例3関節 男性1名・女性2名 平均年齢73.0歳(70歳~76歳)であった。以上の対象の術前、退院時JOAスコア、在院日数について理学療法士が評価し平均値を比較した。対象者には本研究の主旨を説明し同意を得た。
【結果と考察】在院日数について、旧HTO群は平均87.1(61~122)日、新HTO群は平均72.0(67~75)日であった。JOAスコアの結果において、旧HTO群は術前平均54.5(40~75)点、退院時平均55.5(40~70)点であり、新HTO群は術前平均60.0(40~75)点、退院時平均73.3 (70~75)点であった。術前の膝OAの度合や術後の骨癒合の違い、また対象症例が少なく単純には比較できないが、結果のように違いがみられたのは、取り組み前は治療が標準化されておらずPTがスムーズに進められなかったが、取り組み後ではCPができ治療計画が明確となり、さらに医師と細かい情報交換を行うことにより患者の精神的・身体的不安の軽減、意欲向上につながったためであると考えられる。患者の個別性に配慮し質を維持した上で在院日数が短縮されたことは医療の効率化の面からも今回の取り組みは有用であったと考えられる。今後はさらに新HTO群の症例数を増やし、医療スタッフ間で検討、修正を重ね、より良い医療を患者に提供していきたい。

著者関連情報
© 2006 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top