抄録
【目的】the manual ability classification system(以下MACS)は日常生活活動において、物を扱うとき、脳性麻痺(以下cp)のこどもが、いかに手を使用するかを分類(レベル化)する指標として報告されているが、国内ではMACSを用いた報告は見あたらない。今回、cpの子を対象に(1)検者間の信頼性、(2)MACSとGross Motor Function System(以下GMFCS)の関連性の検討を行う。
【方法】対象はCP11名(男児5名、女児6名、平均年齢7.3±3.0歳、タイプは両麻痺4名、片麻痺7名)、測定方法は検者A,B(OT)が、母親からMACSとGMFCSについて聴取し、分類する。また、聴取するCP11名は検者の担当外とし、事前の患者情報はないものとする。 11人中それぞれ2者間で得られたデータをもとに統計処理を行った。
【結果】MACSの信頼性の結果は2者間において、級内相関係数(ICC)=0.93となり、正の相関が見られた。 MACSとGMFCSの関連性の結果は、Aにおいてr=0.93、Bにおいてr=0.95となり、正の相関が見られた。
【考察】MACSの信頼性の結果は、正の相関を示し、検者間の高い測定信頼性を得た。ただし、11人中3人において分類の不一致があり、これは、日常生活内の上肢の使い方における介助や環境設定の分類において、明白な区別が出来なかったこと(分類の例が少ない)が上げられる。MACSとGMFCSの関連性の結果も高い相関を示し、高い関連性を示した。これは、今回調査したタイプは、両麻痺と片麻痺の子で、GMFCSも介助で歩行可能な子が多く、 MACS も環境設定などすると自立レベルまでの子だったので、高い関連性を示したと考えられる。今後、 MACSにおいても情報が少ないため、より分類の区別を明白に出来るよう情報を集めていくと共に、タイプも四肢麻痺、失調症も含め、対象者数の増加を行い、検討を重ねていく必要性が考えられる。
【まとめ】MACSの測定信頼性における検者間の相関と、MACSと GMFCSの関連性における相関について、検討した。検者間には相関係数0.93、 MACSとGMFCSの関連性でも相関係数0.93,0.95と正の相関が見られた。MACSにおける評価は、療法士が行える有効的な評価方法の一つであると考えられた。MACSを研究しているグループにおいて、両親・療法士間でも相関がみられたと報告がある。今回は療法士間での検討となったが、今後も検討していきたいと考える。