抄録
【背景と目的】長野県理学療法士会社会局スポーツサポート部では、長野県サッカー協会医事委員会の依頼により、平成18年度よりメディカルサポート(以下、サポート)を開始した。我々は、2種(高校年代)、3種(中学年代)、4種(小学年代)におけるサポートを整備した。内容は2種、3種では、公式戦に就いてコンディショニングとアクシデントへの対応を、4種では、指導者講習会で障害予防における講演およびテーピングの実技指導を行なってきた。今回は平成18年度の2種1大会(U-18ユース)と3種1大会(JA杯)のサポート結果を分析し、若干の考察を加えたので報告する。
【対象と方法】調査は、U-18ユースでサポートを行なった1日間に参加した8チームと、JA杯でサポートを行なった2日間に参加した延べ40チームを対象とした。また、2種と3種では身体的な特徴が違うためU-18ユースとJA杯を分け、各大会のサポート内容とサポート結果について集計し検討を行なった。
【結果】2種において、各会場のサポートを利用した選手は延べ25名(実施時期:試合前19件、試合中0件、試合後6件)であった。障害部位は足関節8件、大腿部5件、膝関節4件、次いで股関節、腰部、肩甲帯の順に多く、障害の重複が2件あった。症状は安静時痛3件、運動時痛14件、圧痛2件で運動時痛への対応が多い傾向となった。障害段階は急性期8件、亜急性期2件、慢性期9件であった。サポートの詳細はストレッチ10件、テーピング18件、アイシング2件、コンディショニング指導が12件であった。3種において、各会場のサポートを利用した選手は延べ48名(実施時期:試合前20件、試合中10件、試合後19件、試合後新規実施8件)であった。障害部位は大腿部16件、下腿部8件、膝関節6件、次いで足関節、腰部、足部などの順に多く、障害の重複が2件あった。症状は安静時痛4件、運動時痛26件、圧痛9件、疲労感4件、その他5件で運動時痛への対応が多い傾向となった。症状は急性期16件、亜急性期6件、慢性期26件であった。サポートの詳細はストレッチ16件、テーピング19件、アイシング13件、コンディショニング指導が15件、その他3件であった。
【考察】2種においては、足関節や膝関節など関節障害が多く、サッカーの障害特性としての先行研究通りであった。3種においては、関節障害よりも大腿部や下腿部などの筋・腱・軟部組織の障害が多い傾向であり、先行研究からも成長期における発育過程の障害として捉えられ、さらに、自己管理に対する意識の低下が原因と考えられた。今回の結果では、発生機序の原因究明を分析するには至らなかった。今後は、年代別に障害特性を分析できるようなメディカルチェックの必要性があると考えられた。