理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 435
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理学療法基礎系
足部肢位の違いがブリッジ動作の筋活動に及ぼす影響
小幡 匡史川上 晶子南谷 晶
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抄録
【目的】殿部挙上運動(以下ブリッジ動作)は、大殿筋よりハムストリングスや脊柱起立筋等の筋活動を高め、動作を行っていることが多く、また、個々によって様々な足部肢位をとっている。真鍋らは、足関節背屈位でのブリッジ動作がハムストリングスの活動を抑制すると報告している。この報告からclosed kinetic chain動作であるブリッジ動作の筋活動は、荷重面である足部からの影響を受けていると考えられる。そこで我々は、ブリッジ動作時の水平面での足部肢位の違いが、ハムストリングスに対する大殿筋の活動の比率にどのような影響を及ぼすか検討し、若干の知見を得たので報告する。
【方法】対象は健常者8名(男性4名・女性4名、平均年齢29±3.8歳)であった。運動開始肢位は、背臥位にて骨盤と踵部の位置を一定とした膝立ち位とし、足関節は傾斜台を使用して背屈位とした。運動課題は3条件(1.足関節10度外転位、2.足関節中間位、3.足関節10度内転位)でのブリッジ動作を5秒間実施するものとし、各運動課題を順序は無作為に3回施行した。測定は蹴り足側とし、被験筋は大殿筋・大腿二頭筋・半腱様筋とした。測定機器はノラクソン社製テレマイオ2400(EM-401)を使用し、表面筋電図を記録した。データ処理は、表面筋電から全波整流平滑化筋電図を求め、ブリッジ動作開始2秒後から2秒間の積分筋電値を正規化した(%MVC)後、ハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様筋)に対する大殿筋の割合を算出した。統計処理は、Friedman検定と多重比較検定を実施した(p<0.05)。
【結果】Friedman検定の結果3条件で有意差(p<0.01)が認められ、多重比較の結果、足関節外転10度と比較して足関節中間位 (p<0.05)、足関節内転10度(p<0.01)で有意に低値であった。
【考察】統計結果から足部肢位を変化させブリッジ動作を施行した際、足関節10度外転位では足関節中間位、足関節10度内転位と比較してハムストリングスに対する大殿筋の%MVCの割合が高い傾向にあると認められた。これは足部を外転位にしたことで、距骨下関節は回内-外反位となり、足圧中心の内方移動に伴い膝関節外反傾向になる。この膝関節外反を制御するため、股関節での外転・外旋作用が必要となり、ハムストリングスに対する大殿筋の割合が増加したものと考える。よって、大殿筋の筋力増強を目的とした場合、足関節外転位に設定した方が選択的な筋力増強効果が望めることが示唆された。また、ブリッジ動作を行う際は足圧中心の制御を考慮し、足部肢位を決定することが選択的な筋活動を行う重要な要素であると推察される。足部肢位の違いによるブリッジ動作について、足圧中心の計測を含めた筋活動の検討が今後の課題となる。

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© 2008 日本理学療法士協会
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