理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1299
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理学療法基礎系
二次元画像を用いた動作解析の可能性
三次元動作解析との比較検討
坂口 顕金井 秀作長谷川 正哉前岡 浩島谷 康司鵜崎 智史
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キーワード: 動作解析, ImageJ, 測定
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抄録
【目的】動作を捉えることは理学療法場面で必要不可欠な技術である.しかしながら,その技術獲得にはある程度の経験を必要とし,理学療法学生(PTS)や経験の浅い理学療法士(PT)にとって動作を捉えることは困難なことが多い.また,そのようなPTSや経験の浅いPTに技術を伝えることは難しく,臨床実習や臨床指導において問題になることが多い.一方,動作を客観的に捉えるためには,動作解析機器などを使用する方法がある.しかしながら,三次元動作解析装置などの動作解析装置は非常に高価であり,また大掛かりな施設を必要とすることから,研究機関やごく一部の施設に設置されているのみである.そこで我々は,一般の臨床施設において導入可能なデジタルビデオカメラ(DV)で動作を撮影し,画像解析ソフトNIH ImageJを用いた動作解析の可能性について,昨年の本学会にて発表した.今回は,その値の信頼性について検討した.
【方法】同意を得た,PTS6名を対象とした.右肩峰,大転子,外果および第5中足骨頭に反射マーカーを装着し,起立動作および歩行を行った.三次元動作解析機器Vicon512システムにより,動作解析すると共にDVにて動作を撮影した.撮影条件は対象から4mの距離とし,高さは1.5mの高さから撮影した.撮影したデータは,AVI形式にて,パーソナルコンピューター(PC)に取り込み,Virtual Dubを用いて1sampleずつJPEGファイルに変換し,それをNIH ImageJにて解析した.検討した部位は,起立動作の足関節,膝関節および体幹前傾および歩行時はマーカーの隠れない足関節の角度変化のみ行った.統計処理はJSTAT Ver.11.1を用いた.
【結果】起立動作では,膝関節および体幹前傾角度については三次元動作解析での角度変化と相関する値を認めた(体幹前傾:r=0.98,膝関節:r=0.99).足関節の角度変化については相関関係は認めたものの,相関係数は膝関節,体幹前傾角度に比して低かった(r=0.42).変動係数を可動範囲で除した数値は体幹前傾0.82,膝関節0.6,足関節2.16と,足関節が高くなった.歩行時の足関節角度変化についても相関が認められた(r=0.68).起立動作と歩行時の足関節の変動係数は,起立時47.3,歩行時40.0であった.
【考察】同方法での先行研究では検者内および検者間に高い信頼性を示したと報告されている.しかしながら,二次元での画像解析では測定値が撮影条件に依存するという問題が存在する.今回足関節において相関が低く,また可動範囲に対する変動係数が高くなったのは,1.5mの高さから撮影した為に,画角の影響を受けたものと考える.また,DVのsampling数30Hzでは,歩行などの速い動作では測定値の差が大きくなるものと考えられたが,変動係数は起立時と変わらず,歩行動作においても測定可能であると考えられた.今後は画角を考慮した最適な測定条件について検討していくことを課題としたい.
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© 2008 日本理学療法士協会
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