理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 414
会議情報

教育・管理系理学療法
大学生の講義中における座位姿勢に関する実態調査
山下 諒徳田 良英
著者情報
キーワード: 大学生, 講義, 姿勢
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】現在大学生の生活状況の中でも座位姿勢は大きな割合を占める.本大学では1日に90分の講義が最大6回実施され,1日の多くを座位姿勢で過ごしていることになる.座位姿勢は直立位,臥位と比較しても脊柱への負荷が大きく長時間不良姿勢を行うことにより腰痛などの障害を呈しやすくなる.これらのことから将来起こりうる障害予防の為,講義中の座位姿勢を構成している要因について検討する。

【方法】対象者は理学療法学科の成人男女197名とした.講義中に姿勢評価を行い講義後に体型・環境・アンケート調査を行った.姿勢評価基準を肘つき姿勢,仰け反り姿勢,円背姿勢,良姿勢とした.姿勢評価は講義を阻害しないよう配慮し姿勢変化に影響がないよう試みた.体型調査で体型要因(身長,体重,下腿長,座高),環境調査で周囲環境要因(教卓との距離,教室の広さ),アンケート調査で身体状況要因(体調,睡眠時間,視力),思考的要因(講義の理解度,意欲,普段の姿勢意識,集中力,緊張感,内容)を調査し各調査結果と講義中の座位姿勢でクロス集計表を作成し検討した.

【結果】不良姿勢は全体の95.4%を占め3講義中2講義で良姿勢が認められなかった.良姿勢有の講義と良姿勢無の講義を比較したところ講義に対する理解度(とても理解している:講義1;55.7%,講義2;3.4%,講義3;10.1%),講義に対する意欲(とても意欲がある:講義1;40.4%,講義2;10.3%,講義3;7.6%),講義の緊張感(とても緊張感がある:講義1;62.9%,講義2;0%,講義3;2.5%),講義の内容(とても満足している:講義1;40.4%,講義2;3.4%,講義3;2.5%)で差が表れ,良姿勢有の講義で比較したところ普段の姿勢意識(良姿勢:意識有55.6%,不良姿勢:意識無60%),教卓との距離(良姿勢:E.Hallによる分類の社会距離遠方(前3列目までで約1.22m~2.13m);66.7%,不良姿勢:E。Hallによる分類の公衆距離遠方(前8列目以降で約7.6m~;52.5%)で差があった.

【考察・まとめ】今回の研究で全体の9割以上が不良姿勢で行っていることがわかった.このことから大学生の大半が将来腰痛などの障害を呈する可能性が高いと予想できる.良姿勢有の講義と良姿勢無の講義の比較から講義中の座位姿勢には講義への思考的要因が深く関与していると言える.さらに良姿勢有の講義の比較から講義への思考的要因が改善することにより環境要因や講義以外の思考的要因が顕在化すると言える.これらの結果から講義中の座位姿勢に対する改善策としては,教卓に近い距離で不良姿勢を身近に感じる講義を行い,講義に対する思考的要因を低下させないよう講義の間に講義とは違うアクションを組み込む方法が考えられる.

著者関連情報
© 2008 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top