理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 828
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教育・管理系理学療法
夜間部の介護老人保健施設における体験実習の報告(第1報)
介護老人保健施設における実習カリキュラムの試作
畠山 敦木下 修篠田 良平鈴木 雅男阿部 靖木村 哲彦二瓶 隆一
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抄録

【目的】
介護老人保健施設(以下、老健)は理念と役割が明確に示され、リハビリテーションの重要な部分を担っている。養成校としてこの老健のニーズに即した人材養成のための実習が必須と考える。このため当校では、新たな実習教育カリキュラムとして(1)実習前特別授業、(2)体験実習、(3)学内発表と教員および学生からのフィードバックの3項目を柱にしたカリキュラムを試作した。平成18年3年次9月に「老健における体験実習」という新たな実習形態を開始し、現在まで2回を終えている。体験実習の目的は「老健の理念と役割を理解し、実践できること」、「老健、通所施設、在宅等での利用者様の生活状況を体験し、問題点を捉えること」、「老健におけるPTと他職種の役割を理解し、実践すること」である。今回、夜間部特有の老健実習のあり方とカリキュラム編成の若干の知見を得たので、アンケート結果とともに報告する。

【対象および方法】
対象は、平成18年度夜間部3年生35名、平成19年度夜間部3年生38名である。方法は、実習形態にご理解いただいた38施設において「利用者様の日常生活場面と各職種の業務を可能な限り見学、体験すること」とした。(1)実習前特別授業として、実習前の1週間で、まずはPBLチュートリアルを行い老健について学習し、その後、老健で臨床に携わるPTおよび他職種を講師に招き、「老健のシステムと現状」、「PTと他職種の役割」、「介護保険制度」、「国際生活機能分類について」、「訪問リハビリ」などの講義を実施した。(2)3週間の体験実習。(3)実習終了後は学生発表と科内教員および学生によるフィードバックを行った。評価方法は、合否判定をせず当校独自に成果表を作成した。主な項目は医療人としての資質、学生の学ぶ姿勢、体験項目内容である。なお学生の実習記録はポートフォリオを使用した。

【結果】
年次ごとの回答内容の差はほとんどなく、学生の8割が「利用者様の生活を見学でき、一部は体験できた」と答えた。一方、実習指導者の7割が「体験実習の目的が適切だった」と答え、3割が「改善が必要」と答えた。

【考察およびまとめ】
老健での体験実習は、社会における高齢者、障害者の生活を理解するうえで、学生および実習指導者に好評であった。その理由は、ほとんどの学生に社会経験があり、実習開始より積極的に行動し、3週間という短期間でも成果を挙げることができたと推察される。また夜間部の特性に社会性の成熟度が挙げられる。今後はこの特性を生かし、老健における実習形態の確立に取り組みたい。

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© 2008 日本理学療法士協会
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