理学療法学Supplement
Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 1286
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教育・管理系理学療法
臨床実習成績評価表の統一に向けて
統一形式案の作成
石橋 敏郎永尾 泰司田中 正則安田 光進木村 淳志
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抄録

【目的】理学療法士の養成校が急増する中で,臨床実習施設の中には複数の養成校より学生を受け入れているにもかかわらず,臨床実習成績表の内容が養成校によって異なっている。臨床実習における合否基準を考える場合には,臨床実習指導者が同一の価値観で評定できるように評価表を標準化すべきである。教育・管理系理学療法研究部会では,理学療法士の教育水準の維持と質の向上のためには,その判断基準となる成績評価表を各養成校間で統一するべきであると考えた。
今回,臨床実習成績表の統一に向けて,2度のアンケート調査を行い統一の是非を確認した上で,臨床実習成績表の統一形式案を作成して,内容を吟味して修正を加え,県下の養成校間の意見交換を実施したので報告する。
【方法】第1回目の調査は,臨床実習成績表の統一に関する意識調査を行う目的でアンケートを当研究部会で作成し,県内の理学療法士会会員全員に郵送にて配布して記入後,回収を行った。アンケートの内容は,臨床実習成績表の記入経験,統一の賛否,改善点,重視する内容,理想案とした。第2回目の調査は,県内の養成校で使用されている成績評価表を参考にするとともに,臨床実習教育の手引き掲載の成績評価表をもとに臨床実習成績評価表福岡統一形式案の作成し,県内の会員に対してアンケート調査を行い,統一成績評価表の採用の可否,評価項目に関する意見や理想案を調査した。さらに成績評価表の内容を再度吟味して問題点や課題を整理し,統一形式案の内容について県下の養成校間にて意見交換を行ったので報告する。
【結果と考察】第1回目の調査の結果,成績評価表を県内で統一した方がよいとの回答が約半数の会員より得られ,第2回目の調査の結果,県内の約62%の会員が統一評価表を採用してよいとの回答が得られた。また,評価用紙の内容について,評価項目の統合や内容の充実に関する具体的な意見が出された。総合評定のあり方では,5段階評定を望む意見が最も多く,点数化については事実上困難であり,必要ないとする意見が多かった。その一方で,合否を客観的にするためにはそれぞれの評価項目の配点を考えるべきであるとの意見もみられた。多くの臨床実習指導者は総合評定に関する評価基準や到達目標について,個人的な尺度は有しているものの,重要視している項目がまちまちであった。また,総合評定を困難にしている要因としては,各期臨床実習の到達目標が明確でないことが考えられた。今後,到達目標に関する標準化と各評価項目における記載・採点マニュアルの必要性および臨床実習の形態の変化に応じた修正などが必要である。
成績評価表の統一形式案に対する各養成校の意見交換会では,内容の更なる吟味と不必要な項目を削除すべきなどの意見が出された。今後は統一成績評価表の内容の修正と採点方法の基準化を行い,普及に向けての啓発を継続して実施していくべきである。

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© 2008 日本理学療法士協会
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