理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O2-010
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理学療法基礎系
着地動作時の下肢動的アライメントと下肢の関節可動域と筋力の関連について
栗原 智久川島 敏生栗山 節郎大見 頼一宮本 謙司尹 成祚長妻 香織小林 朋美齋藤 千津子加藤 宗規勝平 純司
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キーワード: 膝外反, 関節可動域, 筋力
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抄録

【はじめに】膝前十字靱帯(ACL)損傷の要因として動的アライメント、特に膝外反との関連が指摘されている.しかし、動的アライメントと関節可動域(ROM)・筋力との関連については一定の見解は得られていない.

【目的】今回、ACL損傷の受傷機転として多くみられる着地動作に着目し、着地時の動的アライメントと下肢のROMおよび筋力との関連について検討した.

【対象】関東大学リーグ2部所属の大学女子バスケットボール選手12名で年齢18.2±0.58歳、身長160.5±4.21cm、体重56.71±6.37kg.下肢関節外傷や障害がなく練習に参加できているものとした.本研究は当院の倫理委員会の承認を得て行った.

【方法】1.動的アライメント:動作課題として20cm台から利き足で線上への片脚着地を行った.デジタルビデオカメラ(100Hz)にて前方(前額面)より撮影し、Game Breakerを使用し二次元解析を行った.マーカーは両側の上前腸骨棘と膝蓋骨中央、足関節内外果中央とした.膝外反角度の定義は上前腸骨棘から膝蓋骨中央を結んだ線と膝蓋骨中心から足関節内外果中央を結んだ線の成す角度を測定し、180°からこの角度を引いた値とした.足尖接地時をInitial Contact膝外反角(IC膝外反角)、着地後、最大に外反した角度を最大膝外反角とした.2.ROM:伸展位での股関節内外旋角・足関節背屈のROMを測定した.股外旋角度から股内旋角度を引いて2で除したものを股中間位とした.3.筋力:1)等速性筋力:等速性(60°/sec)にて膝伸展・屈曲および両脚・片脚スクワットを測定した.2)等尺性筋力:徒手筋力計にて股外転、開排、内旋、外旋筋力を測定した.Pearsonの相関係数を用いて統計処理を行った.

【結果】IC膝外反角・最大膝外反角と筋力はすべての項目で相関は認められなかった.IC膝外反角においては股外旋角および股中間位と負の相関が認められた.また、最大外反角と股外旋角および股中間位で負の相関が認められた.

【考察】二次元上では股内旋により生じる見かけ上の外反の判別に限界があるが、先行研究では二次元解析での外反と三次元解析間での外反では中等度の相関があるとされている.今回の結果から、股外旋角が低下している選手、また股中間位が内旋方向にシフトしている選手に、着地時の膝外反角が増大する傾向が認められた.これらのことから、股伸展位での回旋角度を評価することが、着地時の動的アライメントを推察する上で重要であると考えられた.

【まとめ】動的アライメントと下肢のROMと筋力の関連を検討した.膝外反角と筋力には相関が認められなかったが股外旋角に負の相関が認められた.股回旋角度が着地時の膝外反角に関連していることが示唆された.

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© 2009 日本理学療法士協会
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