理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-019
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理学療法基礎系
スポーツ競技者におけるリバウンドドロップジャンプ指数と下肢運動機能の関連性
西村 純市橋 則明南角 学中村 孝志
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抄録

【はじめに】スポーツ競技者の運動機能の評価に、腱の弾性要素をうまく利用できるかどうかを評価する方法として、連続リバウンドジャンプを行わせ、跳躍高を足底接地時間で除したリバウンドドロップジャンプ指数(以下、RDJ index)を用いることがある.RDJ indexの値が大きい競技者は腱の弾性要素を利用した動作が可能となることから、パフォーマンス能力に影響を及ぼすと考えられる.しかし、RDJ indexとパフォーマンス能力や下肢筋力などの下肢運動機能の関連性について検討した報告は少ない.本研究の目的は、RDJ indexと下肢運動機能の関連性を検討することである.
【対象と方法】対象はラグビー部員29名(平均年齢:20.8±1.4歳、身長:173.1±5.7cm、体重:74.6±8.0kg)とし、本研究の目的と方法を十分に説明し、参加への同意を得た.片脚にて5回連続リバウンドジャンプを行い、跳躍高と足底接地時間をマルチジャンプテスター(DKH社製、IFS−31C)を用いて測定した.RDJ indexは、跳躍高を足底接地時間で除した値を算出し、1回目を除く最大値をデータ処理に採用した.下肢の運動機能評価として、片脚パフォーマンステストおよび下肢筋力測定を実施した.パフォーマンステストはすべて片脚で行い、測定項目は6m Hop、Side Hop、垂直跳び、幅跳び、三段跳びとした.6m Hopは同側の脚でHopしながら前方に進み、6m進む時間を測定した.Side Hopは30cm幅を同側の脚にて10回飛び越える時間を測定した.垂直跳びは助走せずに片脚にて上方に跳んだ距離、幅跳びは助走せずに片脚にて前方に跳んだ距離、三段跳びは同側の脚にて前方へ3回連続で跳び、その距離をそれぞれ測定した.下肢筋力の測定には、等速性筋力評価訓練装置MYORET(川崎重工業株式会社製RZ450)を用い、膝伸展・屈曲筋力をそれぞれ低速・高速(角速度60・300deg/sec)にて測定し、トルク体重比(Nm/kg)を求めた.統計処理には、Pearsonの相関係数を用い、危険率5%未満を統計学的有意基準とした.
【結果と考察】RDJ indexと片脚パフォーマンステストでは、すべての項目において有意な相関関係を認め、相関係数は6m Hopでr=0.44、Side Hopでr=0.48、垂直跳びでr=0.48、幅跳びでr=0.55、三段跳びでr=0.60であった.一方、RDJ indexと膝伸展および屈曲筋力は、低速・高速の角速度において有意な相関関係は認められなかった.本研究の結果より、RJ indexは下肢筋力との関連性は認められず、RDJ indexと跳躍能力が必要とされるパフォーマンステストと有意な相関を認めた.以上から、RDJ indexの高いスポーツ競技者は、跳躍能力が必要とされるパフォーマンス能力も高く、RDJ index用いた評価方法は有用であることが示唆された.

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© 2009 日本理学療法士協会
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