理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-388
会議情報

骨・関節系理学療法
関節リウマチ患者の身体活動量について
―5領域(屋内家事、屋外家事、戸外活動、趣味、仕事)に関する調査項目より―
阿部 敏彦武田 花奈武智 政公平石 志保門田 三生
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis:以下RAと略す)患者における身体活動量を決定する上で、疾患の特異性より身体機能障害レベルを判断するADL評価のみならず、家事(屋内外)動作や、戸外活動の内容および頻度を理解する必要がある.そこで今回、外来RA患者における家事動作を含む応用的日常生活活動指標として改訂版Frenchay Activities Index(以下FAIと略す)自己評価表をもちいて調査し、健常人の標準値(55歳以上の中高年齢者752名:男361名、女391名)と比較検討し、RA患者の身体活動量について考察を加える.
【対象と方法】外来通院中の50歳以上のRA患者284名(全例女性)、平均年齢63.0±7.7歳、平均罹病期間11.4±9年である.調査方法は、問診にて居住形態、FAI、歩行能力として10m歩行速度を計測した.問診に際しては、本研究の目的および情報の処理において対象者の同意を得、プライバシーの侵害ならびに個人情報の漏えいの無いことが確認できた.居住形態は3群に分け、1群:一人暮らし30人、2群:配偶者と同居100人、3群:家族と一緒154人となった.FAIは5つの領域(屋内家事、屋外家事、戸外活動、趣味、仕事)にわかれ、屋内家事5項目(食事の用意、食事の後片付け、洗濯、掃除や整頓、力仕事)、屋外家事3項目(買い物、庭仕事、家や車の手入れ)、戸外活動4項目(外出、屋外歩行、交通手段の利用、旅行)、趣味2項目(趣味、読書)、仕事1項目(勤労)、全体で15項目0(非活動的)から45点(活動的)の範囲にわたる.各項目4段階に分け、0点:してない、1点:稀にしている、2点:月に1-3回、3点:週に1回以上、仕事(勤労)については、0点:なし、1点:週に1-9時間、2点:10-29時間、3点:30時間以上とする.
【結果】年代別の標準値は、屋外家事を除き他の4領域(屋内、戸外活動、趣味、仕事)において年代を増す毎に活動量が低下したが、今回は仕事(勤労)以外の領域は年代を増しても低値を示さなかった.総得点は、標準値(60歳代)31.5点、(70歳代)27.5点、(80歳代)18.9点、外来RA患者17.0点であった.居住形態別のFAI値では、居住形態が一人暮らしの場合と配偶者ならびに家族との同居と比較すると配偶者がいても屋内家事の活動量は変化がなく、家族と同居によって屋内家事の量が減少している.罹病期間別のFAI値では、発症から早期5年以内において屋外家事や戸外活動は、活動量低下が見られるが、15年未満において次第に活動量は増している.
【考察】今回の結果より本人の満足度によりその内容や頻度の変動がみられ、患者自身が望んでいる「やりたい」ADL、つまり能動的行動変容を理解することが、RA患者における身体活動量決定に際しては必要であることが示唆された.

著者関連情報
© 2009 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top