理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-373
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骨・関節系理学療法
前十字靭帯損傷患者における体幹機能と動的アライメントの関係について
―global muscleに着目して―
川崎 秀和長壁 円鵜飼 啓史中島 啓照松本 康嗣内藤 浩一
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抄録
【目的】前十字靭帯(以下ACL)損傷後、荷重をより健側へshiftさせる防御的姿勢制御をとる.身体アライメントの変化が習慣化されることによりGlobal muscleのover use を伴う体幹の回旋機能障害を惹起し膝関節へのmechanical stressを助長させる症例を経験する.ACL再建術後スポーツ復帰に際し、動的アライメント改善が必須となり、股関節周囲筋等の下肢機能との関連が多く検討されてきた.しかし体幹機能障害との関連を報告しているものは少ない.今回ACL再建術施行予定の患者を対象に、術前の体幹機能と動的アライメントの関連性について検討した.
【方法】本研究の趣旨を説明し同意を得たACL損傷患者12名である(平均年齢21.8±8.6歳).動的アライメントは、藤井らが提唱する動的Trendelenburgテスト(片脚で30度膝屈曲し、遊脚側腸骨翼が立脚側と同じか下降するのを陽性 以下動的Tテスト)と片脚立位テスト(立脚側骨盤を検者が側方より手掌で保持し、その手を押さずに反体側下肢を遊脚させる)をおこなった.静的アライメントは、背臥位にて床・肩峰間距離を計測し肩甲骨前傾要素を確認した.体幹機能検査は、体幹の回旋可動域(座位にて前額面と両肩峰を結ぶ線のなす角度)、elbow push test(以下EPT)、Side Bridge(側臥位で検側の片肘と片足による2点支持で骨盤中間位のまま床からできるだけ挙上)をおこなった.柔軟性テストは、背臥位による股関節屈曲テスト(股関節前方の疼痛が出現で陽性)と股節内旋可動域を測定した.広背筋は可及的に肩外旋位にて肘屈曲90度で上肢を前方挙上させ肘の位置を視認した.筋出力はMFET2にてMMTに準じ僧帽筋下部線維・広背筋・前鋸筋・大殿筋・中殿筋・腸腰筋の計測を行った.統計処理には対応のあるt-testで患健側の比較と、Spearmanの相関係数を用い、動的アライメントと各parameterとの関係を検討した.危険率5%未満を統計学的有意水準とした.
【結果】患健側の比較では体幹の回旋可動域、広背筋テスト、EPT、床肩峰距離、広背筋・僧帽筋下部筋力が健側で有意に低下していた.片脚立位テスト、Side Bridge、大殿筋筋力、股関節屈曲テストは患側で有意に低下していた(P<0.05).動的Tテストの陽性率は、患側75%・健側0%であった.患側動的Tテストとの関係は健側広背筋テスト(r=-0.64)と患側股関節屈曲テスト(r=0.61)に有意な相関がみられた(P<0.05)
【考察】肩甲帯を含む体幹機能は健側でGlobal muscleの筋スパズムを伴う機能低下を生じ、一部患側動的Tテストとの関係性が示唆された.今後ACL再建術後で同様の機能評価を行い、スポーツ復帰における有効な指標を検討していく必要がある.
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© 2009 日本理学療法士協会
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