理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-528
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内部障害系理学療法
生活習慣病患者の日常生活活動量と脂質・代謝データの関連
近藤 和夫山田 友恵橋本 浩樹
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抄録
【はじめに】当院では糖尿病、脂質異常症、高血圧症患者に対し、「生活習慣病改善プログラム」として医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士がチームとなった生活指導を実践している.その中で理学療法士は、運動療法全般の説明に加え、歩数計(スズケン社製ライフコーダEX)を使用し患者個々の活動量に見合った運動指導を行っている.
【目的】生活習慣病患者の日常生活における活動量について、およびその活動量と脂質・代謝データの関連について調査した.<対象>平成15年4月から平成20年10月までに「生活習慣病改善プログラム」において理学療法士が歩数計を用いて運動指導を行った121名(男性76名、女性45名、平均年齢59.7±9.6歳)をデータベースから調査した.糖尿病86名、脂質異常症22名、高血圧症13名であった.
【方法】当プログラムでは、初日に看護師よりプログラムのオリエンテーションを行った後に歩数計を貸し出し、後日その結果をもとに理学療法士が対面で面接を行っている.今回、活動量は歩数計使用期間における平均歩数(歩/日)および平均運動量(kcal/日)を、脂質・代謝データはプログラム開始時のHDL-C、TGおよびHbA1cを調査・検討した.
【結果】121名の1日の平均歩数は6352.7±3492.5歩、平均運動量は187.4±111.5kcalであった.糖尿病患者86名においてHbA1cと平均歩数(r2=0.0822、p<0.01)、平均運動量(r2=0.0616、p<0.05)と弱い相関がみられた.脂質異常症患者においてHDL-C、TGともに活動量との相関がみられなかった.
【考察】糖尿病や脂質異常症など生活習慣病の背景には運動不足が原因に挙げられているが、当院で歩数計を使用した調査では脂質・代謝データに日常生活の活動量が大きく影響してはいなかった.食事摂取や服薬状況の違いが関わっていると思われる.しかし、糖尿病患者においては身体活動量の少ない患者が多くHbA1cが8%以上の患者は全例7000歩/日以下であったことから日常の身体活動量が血糖コントロールに関わっていることが示唆された.今後は、平均活動量だけでなく定期的な運動習慣、運動内容を比較しながら、このプログラムにおけるより効果的な指導方法を検討する.
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© 2009 日本理学療法士協会
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