理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P2-543
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内部障害系理学療法
熊本県における呼吸器・心大血管リハビリテーションの現状調査
森下 志子前本 英樹大池 貴行森下 一樹石原 裕美藤田 美紀男山岡 香穂里川俣 幹雄
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抄録
【はじめに】熊本県理学療法士協会呼吸循環小委員会は、県内での呼吸・循環分野のリハビリテーションに関する普及・啓蒙を目的として活動を行っている.その活動の一環として、県下における呼吸・循環リハビリテーションの実態および会員の呼吸・循環理学療法分野に関するニーズ調査を目的に、アンケートを実施したので報告する.
【対象と方法】平成20年9月現在、(社)熊本県理学療法士協会会員が所属する全323施設を対象とし、自己記入式のアンケートを郵送した.回答は任意であり、集団的データとしてのみ扱い、施設名が特定されることがない旨明記し、同意を得た.
【結果】対象323施設中、回答を得ることのできた111施設(34.3%)を対象に分析を行った.呼吸器リハビリテーション(呼吸リハ)は111施設中63施設(57%)、心大血管リハビリテーション(心大血管リハ)は30施設(27%)で実施していた.対象を医療施設(病院・診療所)76施設に絞ると、呼吸器リハは51施設(67%)、心大血管リハは25施設(33%)で実施していた.また、施設基準の観点から、呼吸リハでは、実施51施設中呼吸リハ料1取得施設34施設、呼吸リハ料2取得9施設、今後取得予定1施設、取得予定なし7施設であった.心大血管リハでは、実施25施設中心大血管リハ料1取得8施設、心大血管リハ料2取得0施設、取得予定4施設、取得予定なし13施設であった.
【考察】今回の調査で、呼吸器リハに関しては43%、心大血管リハに関しては73%の施設で実施していないという回答を得た.その理由としては、「対象患者がいない」「知識がないためイメージできない」「人手不足」「技術が難解で、使用する機器も取り扱いにくい」などの意見があった.また、特に心大血管リハに関しては、「専門医が不在である」という意見が複数みられた.特に医療機関における診療報酬の観点から分析を行った場合、呼吸器リハ実施施設のうち7施設、心大血管リハ実施施設のうち13施設が施設基準の取得がないまま、それぞれのリハを実施している現状が見られた.その理由として、呼吸器リハに関しては、診療報酬の低さ、算定期間が短いなどが挙げられた.心大血管リハに関しては、特に多く見られた意見が、施設基準取得に関するハードルが高すぎるため取得できないというものであった.これまで小委員会では、平成20年までの3年間啓蒙のためのセミナーを実施しているが、今後はこれに加えて県内各施設での現状を調査し改善するための活動を実施する必要性が高いことが考えられた.
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© 2009 日本理学療法士協会
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