理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-497
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内部障害系理学療法
Low Frequency Fatigue の評価指標の再現性
新渡戸 紗都成澤 正宏作井 大介田中 裕子山田 純生
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抄録
【目的】電気刺激療法(EMS)は、心臓外科術後や慢性閉塞性肺疾患、重症心不全患者などの骨格筋への介入効果が報告されている.しかし、低周波刺激は刺激時に収縮反応の低下(low frequency fatigue:LFF)をきたし易いとされるが、これまでLFFを制御したEMSは行われてこなかった.LFFは2種類の周波数の電気刺激に対する他動的筋出力で評価され、種々の周波数での検討が報告されている.しかしながら、その再現性については明らかでなく、評価指標とできるか否かの検討が必要である.本研究では、LFFを制御したEMSの開発に向けて、まずLFFの評価指標の再現性を検討することを目的とした.
【方法】対象は健常女子学生8名(年齢:23.4±2.9歳)である.最大随意筋力(MVC)測定には、EMS刺激姿勢で他動的筋出力が測定でき、信頼性、再現性を確認した試作器を用いた.EMSの対象筋は左内側広筋と左外側広筋とした.EMSは波形が自由に設定できる電気刺激装置(試作器)を用い、刺激強度は10%MVCに相当する他動的筋出力が得られる強度とした.LFFの刺激様式はBinder-Macleodらが報告したもの(1999)を用い、周波数は再現性が良好で、感受性が高いと報告されている15Hzと100Hzで行った.日内再現性は2種類の刺激を1セットとしたものを5分の間隔をおき2回行った.日間の再現性は2-3日の間隔をあけ2回行い、それぞれの他動的筋出力値を比較検討した.他動的筋出力は試作器のロードセルより直接power labにてパソコンに取り込んだ.統計解析は級内相関係数(ICC1.1)とBland-Altman解析を用いた.対象者には前日・当日の激しい運動を控えさせた.本研究は名古屋大学医学部倫理委員会保健学部会の承認を得た.(承認番号:8-507)
【結果】筋出力値の日内再現性は、ICC1.1は15Hz: 0.985 (95%CI: 0.928-0.997)、100Hz: 0.987 (CI:0.969-0.999)、15Hz/100Hz:0.983(CI:0.915-0.956)であった.日間の再現性はICC1.1が15Hz:0.865(CI:0.506-0.971)、100Hz:0.853(CI:0.471-0.968)、15Hz/100Hz: 0.707 (CI:0.125-0.932)であった.Bland-Altman解析では、15Hz、100Hz、15Hz/100Hzの日内再現性、日間再現性のいずれにおいても差のプロットの全てが2標準偏差内にあった.
【結論】LFFの評価指標は日内再現性、日間の再現生ともに良好であり、15Hzならびに100Hzを用いた他動的筋出力はLFFの評価指標として妥当であることが明らかとなった.
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© 2009 日本理学療法士協会
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