理学療法学Supplement
Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P1-554
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教育・管理系理学療法
当校における新卒者研修コースの取り組み
鳥居 昭久片岡 寿雄加藤 真弓野原 早苗松村 仁実荒谷 幸次林 修司木村 菜穂子勝水 健吾宮津 真寿美木山 喬博
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抄録

【はじめに】
医師のような国家試験後の研修制度が無い理学療法士(以下PT)は、養成学校を卒業し国家資格取得後、すぐに臨床現場で業務に当たらなければならない.卒業前に臨床実習を行ってはいるが、卒業後すぐに十分な診療が実施できているとはいえず、経験の少ないPTに対する卒後教育の重要性は以前から認識されていた.特に近年、全国にPTの養成学校が多数設立されたことからも比較的年齢の若いPTが多くなってきており、益々その重要性が増してきていると思われる.日本理学療法士協会では新人教育プログラムを導入しているが、それぞれの養成学校における役割としても単にPT養成だけでなく、その卒業生に対する卒後教育の責任が少なからずあると言える.今回、当校において新卒業生のフォローアップを目的とした研修会を実施したので報告する.
【新卒者研修コース概要】
当校の卒業生に対する研修会は、当校卒業生同窓会が中心となって毎年2回程度の研修会を行ってきた.今回、これに加えて新卒業生を対象に、卒業後すぐに臨床業務に反映できる研修会を目指して、平成16年度から新卒者研修コースという名称でシリーズ研修会を開催してきた.運営は当校教員が中心となって行い、当校と当校同窓会が共催という形で講師派遣などを行っている.内容としては、国家試験発表直後の5月から4ヶ月間で合計8日間、計34時間行い(平成20年度実績)、解剖学、運動学などの基礎事項の復習、整形障害系、中枢障害系、内部障害系理学療法の実際や、地域リハなどのテーマで実技や症例検討を中心に行った.対象は、国家試験に合格した新卒業生を中心に卒業後3年以内の卒業生に限定し、参加は任意とした.尚、参加対象者に対しては、卒業前にコース概要を説明し承諾を得た上で、国家試験発表後に改めて案内通知を送付した.また今回の報告については、参加者個人を特定する内容は一切公表しないこととした.
【結果と課題】
平成16年(15年度)~20年(19年度)の対象卒業生合計195名のうち、一定回数以上参加して修了認定を受けた者は78名(40.0%)であった.また、1回以上参加した者は約90%に達した.前例が無いために比較が出来ないが、就職地域の広さや、有給休暇未取得期間での開催であることを考えると、決して少なくない数字と言える.一方、遠隔地に就職した者や、業務日程上の都合等で参加が困難な者が参加しにくいことなどの問題点があげられた.しかし、受講後のアンケート結果からは、卒業後すぐにフォローアップされる当コースに対して積極的に歓迎する意見が多く、経済的に余裕の無い新卒業生が気軽に参加でき、尚かつ就職初期の不安などの解消や情報交換の場としても、当コースの意義は大きいと考えられた.

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© 2009 日本理学療法士協会
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