理学療法学Supplement
Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O2-152
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一般演題(口述)
変形性膝関節症gradeと足型形状の関連性について
榎本 理志藤原 正之大森 茂樹
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抄録
【目的】
変形性膝関節症(以下膝OAとする)は,整形外科外来で数多くみられる疾患である.膝OAと足部の関係についてはさまざまな研究がなされており,相互的に影響を受けあうという報告は多い.
当院は非接触三次元足型計測装置(以下INFOOTとする)が設置され,短時間で足型の寸法を計測する事が可能である.膝OAのgradeと足型の形状に関連性を検証することによって、膝OA患者への足部からのアプローチの多様さ、患者の予後予測などで、更に発展的に展開できる目処を発てることを目的に研究を行った.
【方法】
対象は,当院に来院され,膝OAの診断・X線撮影がなされている方149名(231件 内側型の膝OA 女性113名・男性36名)とした.年齢68.05±11.35歳 身長155.4cm±8.07 体重59.74±12.37kgであり,膝OAのgradeは変形性膝関節症進行度分類(横浜市大式)においてgrade1が86件,grade2が114件,grade3が31件と区分される.健常者は30名(60件、女性6名・男子24名、年齢25.9±3.55歳、身長168.9±8.19cm、体重65.0±15.39kg)を対象とし,計179名とした.
足型計測は(株) I-Ware LaboratoryのINFOOT USB スタンダードタイプを用いた.
X線撮影は(株)日立メディコ社製U-6CE-55TBを用い,裂隙間の計測には同社製のNatural-Viewを用いた.
足型計測の際は、第1趾中足趾節関節,第5中足趾節関節,舟状骨の3点にマーカーをつけた.測定肢位は静止立位にて左右均等荷重を指示した.計測項目は.足長・足囲・足幅・インステップ囲長・踵幅・内踏まず長・外踏まず長・足囲最高点・インステップ囲最高点・第1指角・第5指角・舟状骨点・踵部角度である.アーチ高率は大久保らのアーチ高率計算に準じ,舟状骨点/足長×100を用いた.
上記のうち,今回の比較項目は踵部角度・第1指角・アーチ高率とし,各項目で健常群・grade1・grade2・grade3に分類し,一元配置の分散分析後, Bonferroniの多重比較検定を行った.
【説明と同意】
所属施設における倫理委員会の許可を得た.対象には,ヘルシンキ宣言をもとに、保護・権利の優先,参加・中止の自由,研究内容,身体への影響などを口頭および文書にて説明した.同意が得られた者のみを対象に計測を行った.
【結果】
本研究結果より,第1指角と踵部角度において,健常群と比較して,膝OA群は有意な差がみられた(第1指角,踵骨角度ともにp<0.01).また,アーチ効率に関しては,健常群とgrade1にのみ有意な差がみられた(p<0.01).
第1指角においては,健常群に比べgrade2・3において有意差が見られた(健常群 vs grade2,3ともにp<0.01).
踵部角度においては,健常群に比べ各gradeとも有意な差がみられた(健常群 vs grade 1,2,3 ともにp<0.01).また,踵部角度については,grade間においても有意な差がみられた( grade1 vs grade3,grade2 vs grade3ともにp<0.01).
アーチ高率においては,健常群とgrade1にのみ有意な差がみられたが,各grade間の差は見られなかった.
【考察】
今回の結果では健常群と膝OA群を比較し,後者の方が有意に母趾の外反があることが観察された.また,アーチ高率に関しては膝OAの全gradeにおいて有意差は見られなかった.踵部角度に関してはgradeの進行に伴い,踵の内反が大きくなることを示している.
このことより,膝OAのgradeが進行するに従い,床反力は外方へ向かうと考えられる.これにより,内反変形の助長・重心の側方移動量増加が示唆される.
先行研究において膝OAでは,母趾の外反・アーチ効率の低下・後足部の外反が見られると述べられているが,今回はそれとは一部異なる結果が得られた.しかし,踵の角度に対する先行研究では,下腿や脛骨に対する踵骨の角度を計測しているが,本研究では床面からの垂直線に対する踵の角度を計測している.
今後は,下腿と踵骨の関係・動的な場面での足型の計測を含めた研究が必要となる.
【理学療法学研究としての意義】
膝OAと他の関節,特に足型との関係性を研究することで,膝関節の影響による足部へのストレスをみることができる.本研究結果より,病状がどのような経過をたどるのかを予測し,予防的対処が可能になるのではないかと考える.今後はINFOOTで様々な疾患の足型データをとり,下肢と足型の関係性を調べていく必要がある.
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© 2010 日本理学療法士協会
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