抄録
【はじめに、目的】 現在、日本理学療法士協会(以下協会)会員の平均年齢は33歳であり、男女の比では女性の比率が高まりつつある。PTママの会(以下本会)はリハビリテーション職種の女性が出産・育児と仕事を両立するための情報発信・ネットワーク形成を目的に設立され、現在3年が経過し、会員数は200名を超えている。今回、本会会員の現状および本会への要望を把握するために、質問紙調査を実施したので報告する。【方法】 本会会員205名にEメールにて質問紙調査を実施した。質問項目は入会動機、本会に期待することで、選択回答方式および自由記載での回答とした。回答の返信もEメールにて行った。【倫理的配慮、説明と同意】 調査の内容・方法を文面にて説明し、同意を得た。また回答結果の取り扱い、公表についても同様に同意を得た。【結果】 本会会員の21.9%にあたる45名より回答を得た。入会動機については、「情報が欲しかった」が75.6%、「仲間が欲しかった」が55.6%、「勉強会に参加したかった」が55.6%、「会の活動に協力、応援したかった」が51.1%、「ブログ・パンフレットを見て興味を持った」が48.9%、「メルマガを読みたかった」が8.9%、であった。入会後現在求める会員交流については、「会員同士の仲間づくり」が73.3%、「交流会などの開催」が71.1%、「アンケートの返信や記事協力等」が53.3%、「ブログへの書き込みや情報交換」が51.1%、その他、「会員名簿の作成」、「ソーシャルネットサービスの活用」、「ネット上会員コミュニティの形成」などであった。会に期待すること、望むことについては、「PTママの日常紹介や情報交換」が84.4%、「全国各地での勉強会の開催」が84.4%、「会員の現状の外部への発信」が77.8%、「各職域団体へワーク・ライフ・バランスの啓蒙」が73.3%「協会等との連携・就業環境整備」が66.7%、「各士会との連携」が62.2%、「会の活動に関する学会発表」が53.3%、「妊娠中の業務負荷に係る研究」が51.1%であった。また、自由記載の中では、子どもが小さく遠方での学会や研修会に参加ができない、子連れで参加できる勉強会が少ない、勉強に割く時間がとれず復帰した時の不安が大きいなどの悩みや、周囲に現状を理解してもらうにはどうしたらよいか、子どもとの向き合い方、仕事のやり方の工夫を知りたい等の情報を望む声が多く聞かれた。【考察】 今回の調査結果より、本会会員の求めているものが、仲間、情報、知識、自己研鑽であることが確認できた。仲間や情報を求める理由としては、理学療法士(以下PT)の年齢層が20から30歳代の若い世代が多く、仕事と育児を両立することの不安や悩みを共有し、理解してもらえる存在が身近にいないことが考えられる。本会会員の大半は仕事と育児を両立している現役PTであり、本会主催の勉強会や交流会、ブログ等を通じて同じ立場のPT同士で交流を持つことは、そういった不安や悩みの軽減に繋がっていると思われる。また、知識や自己研鑽については、子連れで参加できる勉強会が少ない、遠方での学会や研修会に参加できないといった回答から、知識や技術を学ぶ機会が得られにくいことへの不安が感じられた。協会主催の学会や研修会では託児室が整備されるようになり、利用しやすくなっているが、参加費や旅費などの負担や周囲の理解なども参加できない理由のひとつであると考えられた。本会主催の勉強会でも必ず託児を設け、子連れでも参加しやすいような内容に工夫している。そのため、参加がしやすいと好評を得ており、毎回参加者の半数以上が子ども同伴で参加している。また、本会へ期待することとして、PT協会をはじめとする各職域団体への啓蒙や外部団体との連携・就業環境整備についても多くの回答があったことから、本会会員が出産後も継続して就業することに対し前向きに考えている現状が示された。本会では、PTママ白書の作成や女性理学療法士の会への参加、学会発表等で本会会員の現状や要望を発信することで、出産後も仕事を継続することへの理解、改善につながればと考えている。また、今後の課題として、関東地域以外での勉強会の開催や、会員同士の交流の持ち方についてなどがあげられる。今後これらを具体化していき、本会会員を始めとする育児と仕事の両立を目指すPTの不安軽減に繋げていきたいと考える。【理学療法学研究としての意義】 本研究から得られた結果を実現することで、育児と業務を両立してPTとして活躍できる環境を作っていくことができると考える。また、その環境を整備することで、PTの就業継続や質の向上に対しても貢献できるものと考える。