理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: G-P-03
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ポスター発表
KT性格検査により判定された学生の性格とPBLテュートリアルへの取り組み状況との関連について
鈴木 学木村 朗蛭間 基夫加藤 仁志仲保 徹
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抄録
【はじめに、目的】PBLテュートリアル(以下、PBL)は1969年MacMaster大学に始まった学習方法である。これはグループ討論により模擬症例の問題解決の過程を踏みながら学習を進め、臨床に必要な知識の組み立てや臨床推論を学習する教育方法である。PBLは学生の学習意欲が高くなる方法である、と幾多の報告がされているが、能動的な行動が要求されるために学生の性格によりその取り組み状況に影響が生じることは十分考えられる。そのため、性格と取り組み状況との関係が明らかにされることはグループ編成やテューターの介入方法の方向性を打ち出すことに有益に働くことと思われる。先行研究では、学生の積極性,外向性の程度がPBLの取り組みとの間で有意な相関がみられた、と報告されているが、その他ではきわめて少ない。本研究ではKT性格検査により判定された学生の性格とPBLに対する学生の取り組み状況との関係について検討することを目的とした。【方法】対象は本学理学療法学科3年生全員55名(男性31名、女性24名)、年齢20.3±0.5歳とした。学生を5グループに編成し、各グループには1名ずつ専属のテューターを配置した。シナリオの疾患は脳血管障害片麻痺に設定した。グループ討論により模擬症例を基に事実から問題点を抽出、解決しながら、最終的に臨床推論を実施した。これらの作業は毎週1回90分ずつ13回実施した。全過程終了後、学生に対してKT性格検査による性格判定およびPBLの取り組みに対するアンケートを実施した。KT性格検査は50問の設問に対し、「はい」、「いいえ」、「どちらともいえない」の選択結果から学生個々に潜在している5つの性格(自己抑制型、自己開放型、着実型、繊細型、信念確信型)の強さを得点として換算し、最高得点の類型を学生の主たる性格に設定した。そして実施マニュアルに則り、強さの得点から各性格の傾向の程度を、非常に傾向あり(4)~傾向なし(1)の4段階に設定した。PBLアンケートは下位15項目からなり5段階評価で肯定的意見(5)~否定的意見(1)というように数値化し、それらの上位項目を「臨床思考」、「協調性」、「効率的な自己学習」に設定した。統計処理はKruskal-Walis検定にて主たる性格によるPBLの取り組み状況の差異を、またSpearmqnnの順位相関分析にて学生個々に潜在している5つの性格の傾向の程度とPBLへの取り組み状況との関係について検討した。有意確率は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】アンケート記入者には研究に際してその目的の趣旨、プライバシーの保護、参加拒否・中止の自由、分析結果の開示などについて説明し、文書による同意を得た。尚、本研究は群馬パース大学倫理審査会の承認を受けた(承認番号PAZ12-10)。【結果】KT性格検査の結果、主たる性格は繊細型29.1%、自己開放型23.6%、着実型16.4%、信念確信型14.5%、自己抑制型1.8%、判定困難14.4%であった。潜在している5つの性格の傾向の程度は平均1.42~2.20の範囲であった。PBLへの取り組み状況は2.20~4.67の範囲であり、主たる性格による比較は上位項目で有意差はみられなかった。またPBLへの取り組み状況の上位項目と個々に潜在している各性格の傾向の程度との関係は、「臨床思考」では「信念確信型」との間で有意な正の相関(r=0.358)がみられ(p<0.01)、「繊細型」との間で有意な負の相関が(r=-0.281)がみられた(p<0.05)。「協調性」では「自己開放型」との間で有意な正の相関(r=0.353)がみられた(p<0.01)。【考察】PBLの取り組み状況には個人差が大きかったが、主たる性格による有意差はみられなかった。しかし、取り組み状況の要因の1つとして性格の傾向の程度が関係していることが示唆された。「臨床思考」は「信念確信型」では自主性や積極的な面、「繊細型」では細かいところに気がつくことや物事を深く考える面が関係していることが考えられた。また「協調性」は「自己開放型」では人に親しまれやすい面が関係していることが考えられた。そして「自己学習」は「自己開放型」では考え方が現実的で実際的なことに関心を持つこと、「繊細型」では物事を深く考える面が関係していることが考えられた。【理学療法学研究としての意義】PBLの取り組みと学生の性格との関係を把握することは介入の方法や程度およびグループ編成の際の一助になりより充実した教育に繋がるものと考えられた。
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© 2013 日本理学療法士協会
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