理学療法学Supplement
Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-NV-10-4
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神経難病患者におけるレスパイト入院の実態とリハビリテーションの実施状況
~全国規模のアンケート調査から~
北野 晃祐原田 幸子深川 知栄阿部 真貴子菊池 仁志成田 有吾
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抄録

【はじめに,目的】神経難病患者の在宅生活継続を支援する取り組みとして,レスパイト入院がある。レスパイト入院は,介護者の休暇を目的とした施策であるが,神経難病患者において有効性が報告される短期集中的リハビリテーション(RH)を提供する機会ともなる。しかし,神経難病患者のレスパイト入院は,全国的な実態が不明であり,短期集中的RHを受けることが出来ない神経難病患者も多いと予測される。今回は,神経難病患者に対するレスパイト入院の実態とRHの実施状況を明らかにする。【方法】一次調査として,日本神経学会の教育関連施設(関連施設),全国訪問看護事業協会に所属する訪問看護事業所(訪看事業所),難病看護学会に参加した実績のある施設,合計5202施設に対して,研究協力の可否を郵送法にて調査した。訪看事業所と難病看護学会参加施設に対しては,担当する神経難病患者(療養者)に対して,アンケート用紙配布の可否について聞き取りを依頼した。二次調査は,一次調査で研究協力の同意が得られた関連施設341施設,訪看事業所574施設と難病看護学会参加施設20施設が担当する療養者を対象とした。関連施設への調査内容は,施設形態,レスパイト入院の有無,期間,レスパイト入院時のRH実施の有無とした。療養者に対しては,疾患名,レスパイト入院利用の有無,期間,レスパイト入院時のRHの有無,在宅時のRHの有無を調査した。レスパイト入院時と在宅時のRHの有無は,χ2乗検定を用いて分析した。統計学的処理にはDr.SPSS II for Windowsを用い,有意水準を5%とした。【結果】二次調査は,関連施設の内178施設から回答があり,回収率52.2%だった。また,療養者222名から回答を得た。関連施設の施設形態は,200床以上が138施設(77.5%),200床未満が62施設(34.8%),診療所が6施設(3.4%)だった。レスパイト入院は,118施設(66.3%)が実施しており,8~14日間の期間で実施している施設が71施設(60.1%)で最も多かった。RHは103施設(57.9%)で実施されていた。療養者は,筋萎縮性側索硬化症患者が113名(50.9%)で最も多く,レスパイト入院を169名(76.1%)が利用し,8~14日間の期間が92名(41.4%)で最も多かった。RHは,レスパイト入院時に46.8%,在宅時に53.2%が実施しており,在宅時で多く実施されていた(p=0.006)。【結論】レスパイト入院は,関連病院の半数以上で,主に期間を14日間以内として取り組まれており,神経難病患者に対して短期集中的なRHを実施する環境となり得る。しかし,療養者に対するRHは,レスパイト入院時よりも在宅時で実施されており,短期集中的RHの有効性を検証する必要がある。

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© 2016 日本理学療法士協会
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