理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-MT-19-4
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口述演題
腰部脊柱管狭窄症術後2年の間欠性跛行とQOLの関連性
柏木 智一横山 徹
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抄録

【はじめに,目的】腰部脊柱管狭窄症(以下LSS)では間欠性跛行が特徴的で歩行能力とQOLが阻害される。我々は第51回日本理学療法学術大会において術後1年までの経時的な変化について報告した。しかし,LSS患者の術後1年以降の間欠性跛行とQOLの経過と関連性については不明である。よって,本研究の目的はLSS患者の術前と術後2年における間欠性跛行とQOLの関連性について検討することである。

【方法】当院において間欠性跛行を呈し,手術を施行した腰部脊柱管狭窄症20例(男性8例,女性12例,平均年齢76.5±4.2歳)を対象とした。術前から歩行困難な症例,15分間連続歩行可能だった症例は対象から除外した。評価項目は,連続歩行テスト(歩行距離と歩行時VAS),包括的健康関連QOL尺度であるMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と患者立脚型の腰痛疾患特異的評価尺度である日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ)とした。連続歩行テストでは快適歩行速度で15分を上限とする連続歩行可能距離を計測した。SF-36では下位尺度において国民標準値を用いてスコアリング(平均50点,標準偏差10点)した。評価は術前と術後2年に実施した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。術後の理学療法はおおむね3,4週間の入院期間中のみ実施した。統計的処理は術前と術後2年の比較においてはWilcoxonの検定を用い,術前と術後2年の間欠性跛行とQOLの関連性については,Spearmanの相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。

【結果】術前に比べ術後2年では,連続歩行距離,SF-36のBP(体の痛み),RE(身体機能-役割),JOABPEQの疼痛関連障害,社会生活障害において術後有意に改善されていた。関連性については,術前では歩行距離とSF-36のMH(心理,r=0.500)において相関が認められた。術後2年では連続歩行距離とSF-36のPF(身体機能,r=0.650),BP(体の痛み,r=0.474),VT(活力,r=0.532),JOABPEQの腰椎機能障害(r=0.594),歩行機能障害(r=0.645),社会生活障害(r=0.464)において有意な相関が認められた。その他の項目では有意な改善および相関が認められなかった。

【結論】我々の先行研究では,術後3カ月をピークに間欠性跛行やQOLが改善されており,本研究結果から術後2年おいても間欠性跛行における連続歩行距離やQOL評価の身体機能面,痛み関連項目,社会生活などにおいて維持されていることがわかった。また関連性においては,間欠性跛行における連続歩行距離とQOLの身体機能面や痛み関連項目だけでなく,精神,心理面とも関連していることが示唆された。よって,間欠性跛行とQOLには強い関連があり,特に連続歩行距離の重要性が考えられる。

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