主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
p. C-13
平成18 年度に介護予防事業における運動器の機能向上プログラムが導入された。平成19 年には,日本整形外科学会が運動器症候群(ロコモティブシンドローム:ロコモ)の概念を提唱し,運動器の機能低下を予防する活動を始めている。脳卒中や心筋梗塞といった生活習慣病の予防と改善の取り組みに加え,超高齢社会における高齢者の健康維持に,運動器の機能低下を予防の重要性は益々高まっている。
我々は,平成21 年度厚生労働省の「介護予防に係る総合的な調査研究事業」の一部として,サルコペニアの判予防・改善のための適切な運動介入法を明らかにするためのシステマティックレビューを実施し,サルコペニアを評価する客観的指標の一つである骨格筋量を増加させるための高齢者を対象とした運動介入として,高強度のレジスタンストレーニングが必要であること,筋力の向上には中強度以上のレジスタンストレーニングでも有効であることを示唆した。
平成25(2013)年に厚労省は,健康づくりのための身体活動基準2013(アクティブガイド)を公表した。アクティブガイドの策定のために実施されたコホート研究を対象としたメタ解析では,1 日2 ~ 3 分の身体活動の増加が関節の痛みなど運動器の機能低下やうつ・認知症などの発症リスクを2.2%減少させることが示唆され,生活習慣病の発症リスク0.9%減,がんの発症リスク0.8%減と比較して,身体活動の増加による予防の効果がより大きく期待できることが示唆された。
本講演では,上記のエビデンスに加えて,リハビリテーション分野でのアクティブビデオゲームの活用効果に関する多くの研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果も併せて紹介し,身体活動と運動の指導による運動器の機能低下予防の効果と留意点について考察・検討したい。