主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに,目的】小金井市は東京都下に位置し,総人口119,423人のうち65歳以上の高齢者人口が24,964人(20.9%)を占める自治体である.小金井市では9年前より理学療法士が考案した「さくら体操」という体操が普及しており,地域在住の高齢者を対象に市内各所で実施されている.現在,地域リハビリテーション活動支援事業の一環として,「さくら体操」の会場を市内に勤務する理学療法士が定期的に巡回し,健康相談や運動指導を実施している.今回,今後の活動指針を得ることを目的に,さくら体操参加者の外出頻度と運動頻度,運動の内容について調査したので報告する.
【方法】アンケート用紙を作成し,平成29年3月に地域包括支援センターに依頼して,さくら体操参加者に配布,回収してもらった.質問項目は性別と年代,一週間の外出頻度,運動頻度とその内容についてである.
【結果】体操参加者187名(男性21名,女性164名,性別無回答2名)から回答を得た.このうち,氏名を記入した回答者は161名であった.回答者の年代は60歳代15名(8.0%),70歳代88名(47.1%),80歳代78名(41.7%),90歳代5名(2.7%),無回答1名(0.5%)であった.外出頻度は「毎日」が91名(48.7%),「週6日」32名(17.1%),「週5日」23名(12.3%),「週4日」18名(9.6%),「週3日」15名(8.0%),「週2日」7名(3.7%),「週1日」1名(0.5%),「ほとんど外出しない」0名(0.0%)であり,一週間の平均外出頻度は5.8±1.5回であった.運動頻度は「毎日」が43名(23.0%),「週6日」14名(7.5%),「週5日」29名(15.5%),「週4日」27名(14.4%),「週3日」34名(18.2%),「週2日」19名(10.2%),「週1日」21名(11.2%),「ほとんど運動しない」0名(0.0%)であり,一週間の平均運動頻度は4.3±2.0回であった.外出頻度と運動頻度についてピアソンの相関件数を算出するとr=0.26であり,相関関係は無かった.さくら体操以外に実施している人数の多い運動内容は散歩118名(平均実施頻度3.3±2.0日/週),柔軟体操51名(平均実施頻度3.4±2.4日/週),その他の体操50名(平均実施頻度2.4±2.0日/週),ラジオ体操44名(平均実施頻度5.0±2.0日/週),筋力トレーニング38名(平均実施頻度3.5±2.2日/週)などが上位に挙がった.一方,さくら体操の平均実施頻度は1.4±0.9日/週であった.
【結論】さくら体操参加者の外出頻度,運動頻度は全体的には高い傾向にあった.今後は,より有効な運動内容と運動頻度について理学療法士が啓発し,外出頻度と運動頻度が低い参加者の自助努力を促がす必要性がある.
【倫理的配慮,説明と同意】アンケート用紙の冒頭に本研究の趣旨と個人情報の取り扱いに配慮する点について説明文を入れ,氏名の記載は任意とした.