理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-7-6
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口述演題
理学療法士等による間接的な助言や指導が通所介護利用者の運動機能に及ぼす効果について
市野 敏亮中江 誠筑後 佳華藤村 幸世杉原 啓介
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抄録

【はじめに、目的】

今回、理学療法士等の配置されていない通所介護(以下、DS)の利用者に対して、介護職員への助言指導という間接的な介入が、利用者の身体動作能力に与える効果について報告すること。

【方法】

対象は、承諾をしたDSの利用者14名のうち、継続して実施できた8名(男1名・79歳、女7名・89.9±4.1歳)。評価項目は、体重、握力、5回起立着座時間(以下、5CST)、Timed Up & Go test(以下、TUG)、開眼片脚立位時間、5m歩行時間、基本チェックリストの運動項目)とした。介入期間は、平成28年11月~平成29年11月の1年間とした。初期評価後、理学療法士等が個別に運動プログラムを立案し、DSの介護職員が直接実施した。この間のDSの平均利用回数は2.8回/週であり、3ケ月毎の評価と弾力的なプログラムの修正を行い、利用者へフィードバックした。今回は、初期(平成28年11月)と最終評価(平成29年11月)時点の比較を行い、基本チェックリストの運動項目をwilcoxonの符号付順位和検定、その他の項目は対応あるt検定にて統計処理し、有意水準を5%未満とした。

【結果】

体重(47.0㎏→46.9㎏)、握力(37.1㎏→35.5㎏)、開眼片脚立位時間(5.3秒→9.5秒)、基本チェックリストの運動項目(3.1点→3.8点)に有意差は認められなかった。5CST(13.2秒→10.3秒、P=0.0099)・TUG(14.2秒→11.7秒、P=0.0474)・5m歩行時間(6.35秒→4.9秒、P=0.0150)は有意な改善を認めた。

【結論】

DS利用者の脚力及び移動動作項目に改善を認めた。1年間の理学療法士等による助言指導で、他職種(介護職員)による個別プログラムの実施でも、一部の身体動作能力については改善することができた。平成30年度の介護報酬改定では、DSでの個別機能訓練に理学療法士等が関与する事に対して加算が新設された。今回の結果は、これを裏付けるものであり、地域における介護予防リハビリテーションマネジメントの観点から、利用者の身体動作能力向上のためには、利用者の個別の評価とプログラムの立案が重要であると考える。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は当法人倫理委員会の承認番号を受理している(承認番号 第17-011号)。

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© 2019 日本理学療法士協会
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