主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
p. E-50-2
学会や研究会を通じて面識を持った全国の理学療法士たちと病初期段階のALS患者を対象とした多施設共同研究を実施し,投稿した論文がメジャー誌に採択された(DOI:10.1016/j.apmr.2018.02.015)。この研究は,同じくALSを対象として多施設共同で取り組んだ後方視的調査の結果を検証する位置付けで計画され,理学療法士の監督下で継続的に実施するホームエクササイズの有効性を明らかとしている。研究を多施設共同で実施する最大のメリットは,十分なサンプルサイズの確保が期待できることである。本研究は,最終的に21例の登録を得たが,単一施設における最多患者登録数が6名であることから,多施設共同研究として実施したメリットを生かせたと思われる。一方,デメリットは,データの信頼性を確保するために十分な労力が必要となる点であろう。本研究においては,複数回の打ち合わせ会議によって,ALSFRS-Rをはじめとした評価方法と介入手段の施設間統一を図った。共同研究者の皆様には,研究期間を通じて多大な熱意と労力を頂戴し,この場を借りて改めて御礼申し上げたい。
今回は,希少性疾患であるALS患者を対象として取り組んだ多施設共同研究について,研究計画作成から論文採択に至るまでの取り組みを紹介するとともに,得られた成果より病初期段階のALS患者に対するリハビリテーションについて解説する。