主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【目的】
本研究の目的は,中学生野球選手の分離症発生に関与する因子について検討し,傷害予防の一助とすることである。
【方法】
2013年から2017年に中学硬式野球チームに入団した選手146名の内,入団以前に分離症の診断を受けた者(8名)検診項目に欠損が多い者(3名),途中で退団したもの(2名)を除く133名を対象とし,在団中の分離症の発生の有無を目的変数とし,入団時の検診項目(身長・体重・野球歴・ポジション・既往歴・入団時の腰の痛み・Ely test・Thomas test・膝窩角・股関節内旋可動域・しゃがみテスト・体幹屈曲-伸展時痛・Kemp test・腰椎棘突起,脊柱起立筋の圧痛)を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。分析統計はすべてIBM SPSS ver.25を用いて行い,有意水準は5%未満とした。
【倫理的配慮】
本研究は院内倫理審査委員会の承認を受けて行った。
【結果】
2013年から2017年終了時までに分離症の診断を受けた選手は7名で,全体の5.2%であり,すべて右投げ右打ちであった。単変量ロジスティック回帰分析では左股関節内旋可動域の制限(<45°)がOR4.86(95%CI1.06<22.98P<0.046)で有意差がみられた。
【考察】
分離症発生全例は右投げ右打ちのため左下肢は打撃動作,投球動作におけるステップ側となる。ステップ側股関節内旋可動域の低下は分離症発生のリスクを増加させ,ステップ側股関節内旋可動域の拡大は分離症の発生を予防する可能性があることが示唆された。