理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O3-2
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一般演題
膝前十字靭帯損傷後における運動認知
川本 晃平門脇 俊内尾 祐司
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抄録

【はじめに・目的】

 膝前十字靱帯(以下,ACL)が固有感覚を担い,損傷により機能が低下することが分かっているが,ACL損傷が脳活動に与える影響は不明である。本研究の目的はACL損傷による運動認知の変化を明らかにすることである。

【方法】

 ACL損傷後再建術前の「術前群」12名,実施後の「再建術群」12名,対照として「健常群」12名の3群を対象とした。測定方法はSkinnerらの報告に準じ,膝関節位置覚(30°,60°の2条件)と運動覚(30°,60°,90°から屈曲,伸展の6条件)を測定した。さらに膝関節他動運動時の機能的磁気共鳴画像(以下,fMRI)を用いて脳活動を評価した。統計学的分析はScheffé testにて比較し,有意水準は5%とした。

【倫理的配慮】

 本研究は島根大学医の倫理委員会の承認を受け実施した(承認番号第660号)。

【結果】

 固有感覚は位置覚2条件,運動覚5条件(30°,60°から屈曲,伸展,90°から伸展)において術前群と再建術群は健常群より低下し,術前群と再建術群には差がなかった。運動覚の90°からの屈曲では術前群は健常群より低下し,再建術群と健常群には差がなかった。fMRIでは健常群で対側一次体性感覚野と両側運動前野が活動していた。術前群と再建術群では対側一次体性感覚野が活動していない例があり,一方で同側体性感覚連合野や運動前野,補足運動野が活動していた。

【考察】

 術前群と再建術群では健常群と脳活動が異なっており,運動認知のパターンが変化している可能性がある。

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