主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに,目的】
イップスは,特定のスポーツ動作における筋の不随意収縮や強い精神的緊張を特徴とする運動障害であり,アスリートのパフォーマンスに深刻な影響を及ぼす。本研究は,イップスに対するマネジメントの効果を検討することを目的とした。
【方法】
Minds診療ガイドライン作成マニュアルに準じて行われた。7種類のデータベースを用いて,2018年4月までの論文に対して系統的検索を行った。論文の選出後,データ抽出,バイアスリスク評価,エビデンス総体の評価を行った。
【倫理的配慮】
2次研究であるため特別な倫理的配慮を必要としなかった。
【結果】
10編の観察研究が選出された。対象スポーツは7編の論文においてゴルフであり,その他の論文ではバスケット,ボーリング,ボート競技であった。運動イメージ想起や運動課題実施前のルーティン動作がイップスの頻度と各スポーツのパフォーマンスを改善させるうえで大きい効果量が得られたが,バイアスのリスクが高いことから,その信頼性は低かった。
【考察】
運動イメージ想起は慢性痛や脳卒中といった一般的な理学療法対象疾患に対して用いられており,その有効性についてエビデンスが存在するが,本研究では非常に弱いエビデンスしか得られなかったことから,スポーツにおけるイップスに対する介入の有効性は不明確であった。今後の研究では,本研究で同定されたバイアスリスクを克服してより強いエビデンスを示す必要がある。