理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 2-P-A-4-1
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ポスター演題
振り返り動作における下肢回旋量
-後足部アライメントの相違に着目して-
奥貞 見奈辛嶋 良介近藤 征治川嶌 眞之川嶌 眞人
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抄録

【はじめに】

 足部アライメントの変化は脛骨を通じて近位方向へと波及し,その関係性は下肢関節疾患において臨床上重要視されている.半月板損傷患者においては,下肢回旋動作に伴う疼痛出現も少なくなく,後足部への治療介入により動作時痛が改善することも経験する.しかし,先行研究において下肢回旋動作と後足部アライメントの関連性を検討した報告は渉猟し得なかった.そこで本研究目的は,後足部アライメントの相違が振り返り動作時の大腿と下腿の最大外旋角度に及ぼす影響を確認することとした.

【方法】

 対象は,健常成人9名(男性7名,女性2名,平均年齢26.4歳,平均身長168.7±9.9㎝,平均体重60.3±7.8kg)であった.運動課題は右側への振り返り動作とし,被験肢は右側下肢としサンプリング周波数200 [Hz]の小型無線モーションレコーダMVP-RF8-BC(MicroStone社製)を大腿骨外側上顆と腓骨頭に貼付した.振り返り動作は2秒かけて右側へ振り返り1秒保持し2秒かけて正面に戻る動作とし,メトロノームに合わせて行うよう口頭にて指示した.後足部アライメントの誘導は厚さ8㎜の傾斜のパッドを用い,回内誘導は踵外側に,回外誘導は踵骨内側に挿入した.動作開始の同定にはサンプリング周波数200 [Hz]のグラビコーダG-620(アニマ社製)の下肢荷重量を指標に用い,解析区間は振り返り動作開始から右側後方へ振り返えり終えるまでの1動作とした.データの算出は大腿と下腿の最大外旋角度,大腿と下腿の最大外旋出現時間差とし,比較検討は非誘導,回内誘導(以下,回内群),回外誘導(以下,回外群)の3条件間における大腿と下腿の最大外旋角度,大腿と下腿の最大外旋出現時間差とした.統計学的解析には統計解析ソフトR2.8.1を用い,正規性の有無に従い多重比較検定を行い有意水準は5%とした.

【結果】

 大腿最大外旋角度は非誘導群15.5±2.8°,回内群13.9±5.7°,回外群12.5±6.1°,下腿最大外旋角度は非誘導群16.2±4.1°,回内群15.6±6.9°,回外群14.2±7.1°,大腿と下腿の最大外旋出現時間差は非誘導群0.08±0.14秒,回内群0.03±0.3秒,回外群0.12±0.16秒となり,3群間に有意な差は認められなかった.後足部の回内あるいは回外への誘導による大腿または下腿の最大外旋角度の変化は全例に見られたが,どちらの体節に変化が生じるかや最大外旋角度の出現時期は様々であった.

【結論(考察も含む)】

 後足部アライメントの相違は大腿と下腿の最大外旋角度に少なからず影響を与えるものの,誘導方向による大腿と下腿の最大外旋角度への影響は個人間のばらつきが大きかった.

【倫理的配慮,説明と同意】

 本研究はヘルシンキ宣言に沿った研究であり,研究の実施に先立ち当院の倫理委員会の承認を得た.また,被験者に対して研究の意義,目的について十分に説明し同意を得た後に実施した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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