理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P3-1
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一次運動野における皮質内抑制指標の被験者内の再現性と各皮質内抑制指標間の関連性
佐々木 亮樹立木 翔太宮口 翔太小島 翔齊藤 慧犬飼 康人大鶴 直史長岡 輝之山崎 一徳大西 秀明
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抄録

【はじめに、目的】

一次運動野(M1)における皮質内抑制機能の評価には,経頭蓋磁気刺激(TMS)を用いた二連発TMSによる短潜時皮質内抑制(SICI)と長潜時皮質内抑制(LICI),TMSと末梢電気刺激を組み合わせた短潜時求心性抑制(SAI)と長潜時求心性抑制(LAI)がある.しかし,各皮質内抑制指標の被験者内での再現性および各皮質内抑制指標間の関連性は不明である.そこで本研究の目的は,皮質内抑制指標の被験者内の再現性と各皮質内抑制指標間の関連性を明らかにすることであった.

【方法】

対象は健常成人38名であった.M1の興奮性評価には,TMSで誘発される運動誘発電位(MEP)を用い,右第一背側骨間筋より記録した.皮質内抑制機能の評価には,二連発TMSによるSICI,LICIと,尺骨神経刺激とTMSを組み合わせたSAI,LAIをそれぞれ用いた.SICIの条件刺激強度は安静時運動閾値の80%,磁気刺激間隔を2msとし,LICIの条件刺激強度はMEPが1 mVを導出する強度,磁気刺激間隔は100msとした.また,SAIの条件刺激強度は運動閾値の110%,電気磁気刺激間隔は20ms(SAI20ms)と25ms(SAI25ms)とし,LAIの条件刺激強度は運動閾値の110%,電気磁気刺激間隔は200msとした.TMSの試験刺激強度は単発刺激のMEPが1 mVを導出する強度として,単発刺激のMEP,SICI,LICI,SAI20ms,SAI25ms,LAIをランダムにそれぞれ20回×2セットを0.20 Hzの刺激頻度で計測した.セット間隔は10分間とし,級内相関係数(ICC)を用いて被験者内の再現性を算出した.

【結果】

SICI,LICI,SAI20ms,SAI25ms,LAIのMEP振幅値は,単発刺激のMEP振幅値で定量化し,各皮質内抑制指標の抑制率を算出した.各セットで単発刺激のMEPと比較して,SICI,LICI,SAI20ms,SAI25ms,LAIのMEPで有意な低下を認めた(p<0.05).各皮質内抑制指標のICCは中等度から高度の値を示した(SICI,0.56;LICI,0.86;SAI20ms,0.70;SAI25ms,0.63;LAI,0.86).また,SICIに対してLICI,SAI20ms,SAI25msのそれぞれと,SAI20msとSAI25msで正の相関関係を認めた(SICIとLICI,r=0.40;SICIとSAI20ms,r=0.44;SICIとSAI25ms,r=0.49;SAI20msとSAI25ms,r=0.87;全てでp<0.05).

【結論】

M1の各皮質内抑制指標は,被験者内で中等度から高度の再現性を認めた.また,SICIはLICI,SAI20ms,SAI25msのそれぞれと関連性があることが明らかになった.

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究はヘルシンキ宣言の趣旨に則り,かつ我々の所属する機関の倫理委員会の承認を得て行った.また対象者には,本研究の内容について十分な説明を行い,書面にて同意を得た.

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© 2019 日本理学療法士協会
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