主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに】我々は,2017年の第52回日本理学療法学術大会において,修正6か月でのNIDCAP(Newborn Individualized Developmental Care& Assessment Program)の効果について報告した.今回,NIDCAPの効果を修正6か月と修正18か月の発達指数について比較検討したので報告する.
【方法】2013年以降で出生,当院NICU,GCUに入院し,退院後,新版K式発達検査2001が実施できた超低出生体重児20名(平均出生体重 708.9±168.3g,男性7名,女性13名,在胎26.1±1.5週)である.そのうちNIDCAPの継続観察を実施した児(NIDCAP群)10名とNIDCAPの観察対象とならなかった児(Control群)10名に分けた.対象を外来で修正6ヶ月および18か月前後に発達検査を行い,姿勢運動(P-M)領域,認知適応(C-A)領域,言語社会(L-S)領域,全領域のそれぞれについて発達指数を算出し,NIDCAP群,Control群で比較検討した.なお,統計学的検討は, Mann-WhitneyのU検定を用いて危険率5%以下を統計学的有意とした.
【結果】NIDCAP群とControl群の修正6か月時の平均発達指数(NIDCAP群(n=10)/ Control群(n=10))は,P-M領域では,102.9/102.8,C-A領域では,104.9/105.1,L-S領域では,110.2/100.9,全領域では,104.7/104.3であり,L-S領域でのみ有意にNIDCAP群が高値を示した(p<0.05).また,修正18か月時の平均発達指数(NIDCAP群(n=6)/ Control群(n=10))は,P-M領域では,101.8/97.9,C-A領域では,100.5/98.6,L-S領域では,105.2/93.1,全領域では,101.8/97.5であり,全てで有意差は認めなかったがL-S領域でのみNIDCAP群が高値を示す傾向があった(p=0.07).
【考察】今回のNIDCAP群とControl群の発達指数の比較の結果, NIDCAP群が修正6か月の L-S領域で有意に高く,また,修正18か月でもL-S領域に高い傾向を認めた.これは,NIDCAPによって赤ちゃんの行動観察を根拠としてケアを行うことで,相互作用が促され,また退院後も家庭で母親が継続することより,赤ちゃんとのアイコンタクトやコミュニケーションが増え,退院後の言語社会面の発達につながっていた可能性も考えられる.今後は,症例数を増やし,他の要因との関係も含めて,詳細に検討していく必要があると考える.
【倫理的配慮,説明と同意】対象児の保護者には,NIDCAPおよび外来でのフォローアップについての説明および情報の取り扱いについて紙面および口頭にて説明し,同意を得て実施した.