理学療法学Supplement
Vol.47 Suppl. No.1 (第54回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: F-54
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特別講演
次代に繋いでいきたい私(達)の理学療法スキル
大槻 利夫
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抄録

 私は運動機能に課題を持つ患者さんと真摯に向き合う理学療法が持つ楽しさ,あるいは時には辛く,厳しい言葉をいただく時もあるけど,患者さんとその家族の笑顔を共有できる臨床の楽しさを次代に繋げていきたいと思い,拙い経験を職場のスタッフや様々な病院,施設で治療介入の実際を提示させていただき,話もさせてもらっています。

 私は30年以上の急性期病院勤務を経て現在は回復期病棟に勤務しています。時々は一般病棟でスタッフと一緒に治療介入,また同じ法人内の訪問リハに同行したり,デイケアなどでも指導させてもらったりしています。これほどの長い間理学療法士としてやれているのは,親が丈夫な身体に生み育ててくれたことと,多くの患者さんから常にいただいているエネルギーです。患者さんが私に示してくれる臨床症状は多彩で個性的です。疾病に基づく神経症状ばかりでなく,職業やこれまでの生活歴,これからの生活環境も加味した全人的な関りが重要なのはICFでも明確にされており私も日々の実践に取り込んでいます。

 現在の理学療法で重要なのは治療介入の前,中,後に行うクリニカルリーズニングだと思います。私はこのクリニカルリーズニングを患者さんの動作を視覚的に観察,分析するだけでなく,hands onを用いて動作を行う前の患者さんの心身の準備状態(姿勢コントロール)を知り,より効率的な動きの誘導に役立てています。このhands onによる誘導は患者さんの動きを他動的にあるいは一方的に導くのではなく,課題を遂行し目的を達成するための患者さんの姿勢の安定性と動きの方向性を私の目や身体や手で感じながら行っています。そしてこのような動きの誘導を行う背景や,治療介入の結果からの振り返りを可能な限り神経学的なエビデンスを用いて説明するようにしています。

 今回は私(達)が実践しているクリニカルリーズニングと,これに基づく治療介入の実際を紹介して意見交換をしていきたいと思います。

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© 2020 日本理学療法士協会
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