主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第54回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2019/09/07 - 2019/12/15
小児から成人に到る途上の発育期に,私たちの身体は身長,体重とも増大するが,増大のしかたは相似的な変化ではない。身体各部のなかでも,頭部はより幼い時期に発育が進んでおり,体重に占める頭部の重量割合は発育とともに減少していく。頭部の重量割合が大きいと身体重心位置が高くなり,転倒のリスクが高くなる。実際に,学校の管理下の損傷では学年が低いほど頭部や顔面の損傷の発生頻度が高く,学年が進むにつれて発生頻度が低下していく。
また,四肢では末梢側の発育が先行し,中枢側がその後追いかけるように発育していく。投動作を考えると,手,前腕は上腕や肩関節部より発育が先行する。そのため,肩関節を回転中心とした慣性値は肩関節周囲の筋の発育より先行して増大し,その後中枢側の筋の発育が活発となることで慣性値をコントロールできるようになる。慣性値と肩関節周囲筋量との比が最大となる時期はもっとも上肢への負荷が大きくなると考えられ,肩や肘の損傷のリスクが高まる時期と考えられる。慣性値を小さくできるフォームの指導を考えて行く必要がある。
球技ではボールの重さが最も末梢部の手に加わることで,さらに関節に生じる負荷は大きくなるので,年少者には安全な重量のボールや用具を準備することが望ましい。