理学療法学Supplement
Vol.48 Suppl. No.1 (第55回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-5
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教育講演
身体運動学の知見を臨床に活かす
市橋 則明
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抄録

 運動学は理学療法にとって最も重要な基礎知識の1つである。特に関節モーメントの知識は動作分析や関節にかかる負担等を考慮する場合に必須であり,筋の作用の知識は筋力トレーニングやストレッチングを行う場合に重要である。本講演では,関節モーメント,人体のてこ,筋の構造と機能,関節の機能障害,ストレッチングを中心に話題を提供する。

 

1.関節モーメントの重要性

 関節モーメントの知識は,筋力評価,動作分析,運動トレーニング,関節に負担のかからないADL指導等に重要である。関節モーメントを理解することで筋収縮により各関節にかかる圧縮力や剪断力がわかる。また,姿勢を観察することでどこの関節に負担がかかっているかを容易に理解することが可能となる。関節モーメントに関する基礎知識に関して解説する。

 

2.人体のてこの間違い

 てこの原理は非常に重要な知識である。てこは3種類に分類され,これを人体に当てはめたものが運動学の教科書に数多く紹介されているが,間違っているものが多い。特に関節の遠位に筋が付着するから力発揮に有利で,関節の近位に筋が付着するから力発揮に不利という考えは間違っている。人体のてこの間違いについて解説する。

 

3.筋の構造と機能

 筋の断面積が筋力に比例することはよく知られているが筋線維長が筋機能に与える影響についてはあまり知られていない。筋線維長が筋機能に与える影響を中心に解説する。

 

4.関節の機能障害と運動学

 変形性膝関節症患者において,歩行中の膝関節への負荷が膝OAの進行に関連しているとされている。本講演では,特に歩行介入が外的膝関節内反モーメントに与える影響を中心に解説する。

 

5.超音波を使ったストレッチング研究

 近年,超音波エラストグラフイーにより筋の柔軟性の評価が可能となった。この機器を使った最新のストレッチング研究を紹介する。

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