理学療法学Supplement
Vol.48 Suppl. No.1 (第55回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-21
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シンポジウム4 若手研究者(U39)による最先端研究紹介
筋力トレーニングにおける筋束長特異性という新たな概念
田中 浩基
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抄録

 トレーニング時の関節角度に依存して筋力が増強する関節角度特異性という法則がある。しかし,この法則は高負荷トレーニングでしか検討されていない点や,筋の伸長位では完全には成立しない点など一般化するには不十分な点が散見される。我々は関節角度特異性について筋束長に着目して検証を行ってきた。足関節底屈20°かつ最大筋力の30%負荷での等尺性トレーニングを行うと,底屈0°と10°のみで筋力増強が得られ,底屈20°の筋力は変化しないという関節角度特異性に反する興味深い結果が得られた。一方,超音波診断装置にて測定したトレーニング条件での内側腓腹筋の筋束長は,最大筋力が向上した条件での筋束長と一致していた。つまり低負荷でのトレーニングは同じ関節角度ではなく,筋束長が一致する筋の伸長位での最大筋力を向上させたと考えられた。我々はこの結果を筋束長に特異的な筋力向上として捉え,新たな筋力トレーニングの特異性として報告した(JSCR,2016)。さらにこの仮説は等尺性収縮だけではなく等張性収縮(Muscle Nerve,2017),足関節だけではなく股関節(JPFSM,2018)でも成り立つことが確認された。本シンポジウムでは筋束長特異性の着想に至った背景および実験結果を踏まえた臨床応用について述べる予定である。

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