主催: 日本理学療法士協会
2000年より脊髄相反性抑制増強について注目され,研究報告が増加している。
脊髄相反性抑制は,関節運動や歩行・走行を円滑に行うための重要な機能である。上位運動ニューロン障害患者や高齢者では,脊髄相反性抑制の機能が低下するため,脊髄相反性抑制増強は重要な介入法となる。演者は,脳刺激と末梢刺激による効果的な介入法を明らかにし,介入後の持続効果も得られたため紹介する(Hirabayashi et al., 2019a, 2019b, 2020)。介入法として,脳刺激では補足運動野,末梢では反復他動運動に着目した。補足運動野の活性は,網様体脊髄路の興奮性を増大させ,抑制性介在ニューロン(Ia抑制性介在ニューロン,一次求心性脱分極介在ニューロン)の活性に関与し,脊髄相反性抑制の増強を認めた。また,反復他動運動は,筋紡錘からの求心性インパルスがIa線維の発火を増加させ,抑制性介在ニューロンが活性し,脊髄相反性抑制の増強を認めた。演者は,これらの効果的な介入法を紹介する。