抄録
国(総務省)は、地方公務員法の範囲内で地方公務員の兼業・副業等を促進するため、地方公共団体に対し兼業許可に関する通知を発した。この動きは、当事者である地方公務員の兼業・副業等に関する認識に合致したものであるか。本稿では、地方公務員を対象に行われた意識調査の結果から、当事者の認識と国の取り組みとの一致度合いを検証した。結果として、それらは合致していた。国が一定の役割を果たしたことで、当事者が満足に兼業・副業等に取り組むための環境作りは各自治体に任せられた。その上で、兼業・副業等促進の先進事例ともされる“社会貢献特化型の兼業許可制度”の問題点を議論する。すなわち、当該制度は、社会貢献とは必ずしも言い切れない事業等を不必要に排除し萎縮させる懸念がある。