抄録
2016年に発生した県立津久井やまゆり園での施設利用者殺傷事件後、神奈川県は障がい者に対する偏見・差別的思考をなくし、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために「ともに生きる社会かながわ憲章」を定めた。そしてその目標への具体的アプローチのひとつとして、2020年度より「ともいきアートサポート事業」を展開している。アートを通じて障がいの有無に関わらず、お互いを理解し尊重しようという試みである。作品の露出機会は、各種会場での展示のみならず、オンライン展示さらには仮想空間メタバースの利用に発展してきている。特に仮想空間の利用は空間的な制約にとらわれず自由な展示が可能になるため、注目に値する。本稿ではその事業の進捗を現場に立って取材し検証した。