抄録
都市部では住民間の関係性の希薄化が進行しており、地域社会から孤立して子育てする「孤育て」が生じている。本稿では子育て支援施設に着目し、子育て支援施設空白地に親子が気兼ねなく集まれる「キッズルーム・プロジェクト」を設定した。「公」である自治体と「私」である地域住民が、子育て世代を支援するという共通の目的を設定し、公と私の双方が連携・協働して子育て支援を行うことにより「公共」の涵養という課題に取り組んだ事例研究である。結論として、子育て世代は集まっては来たが、利用者間の交流は生まれず今後の課題となった。しかし、「公」と「私」による「公共」の涵養に取り組むという一定の成果はみられた。