日本口蓋裂学会雑誌
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統計
北海道大学病院高次口腔医療センターにおける口唇裂・口蓋裂患者の臨床統計的調査
三古谷 忠松沢 祐介曾我部 いづみ伊藤 裕美山本 栄治澁川 統代子金子 知生三上 愛今井 智子道念 正樹村上 有二渡辺 政明中村 英司井上 農夫男戸塚 靖則
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2011 年 36 巻 3 号 p. 166-173

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抄録

北海道大学病院高次口腔医療センターでは,1995年に口唇裂・口蓋裂のチームアプローチ治療体制の構築をはかった。1995年1月から2010年12月までの16年間に当センターに登録された口唇裂・口蓋裂患者一次症例について臨床統計的観察を行い,以下の結果を得た。
1.一次症例総数は461例であった。うち226例(49%)は産科・小児科からの紹介で,次いで118例(25.6%)は形成外科から,80例(17.4%)は他の病院歯科口腔外科からの紹介であった。
2.裂型分類では,口唇(顎)口蓋裂222例(48.2%),口蓋裂126例(27.3%),粘膜下口蓋裂55例(11.9%),口唇(顎)裂51例(11.1%),口唇(顎)裂を伴う粘膜下口蓋裂7例(1.5%)であった。
3.裂型別の初診時暦齢の平均では,口唇(顎)裂は10.8週,口唇(顎)口蓋裂は5.0週,口蓋裂は14.2週,粘膜下口蓋裂は96.6週,口唇(顎)裂を伴う粘膜下口蓋裂は38.0週であった。
4.居住地分布では,451例(98%)は北海道内居住者で,札幌市を含む石狩支庁が252例(54.7%)と最も多く,次いで苫小牧市を含む胆振支庁が48例(10.4%),釧路市を含む釧路支庁が30例(6.5%),小樽市を含む後志支庁が29例(6.3%)で,他の支庁は5%に満たなかった。
5.唇裂の側性では,唇裂を有していた280例中,左側は151例(53.9%),右側は60例(21.4%),両側は69例(24.6%)で,片側性と両側性の比は3.1:1,左右比は2.5:1であった。
6.他の先天異常の合併は461例中127例(27.5%)にみられ,裂型別出現頻度では粘膜下口蓋裂と口蓋裂が高く,それぞれ55例中26例(47.3%),126例中57例(45.2%)であった。次いで口唇(顎)口蓋裂は222例中40例(18.0%),口唇(顎)裂は51例中4例(7.8%)であった。

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© 2011 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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