日本口蓋裂学会雑誌
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原著
口蓋裂術後言語成績の経年的変化について
北野 市子鈴木 藍朴 修三加藤 光剛
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2015 年 40 巻 3 号 p. 197-206

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抄録
目的:静岡県立こども病院で同一術者によって25年間,口蓋形成術を施行された児の鼻咽腔閉鎖機能 (以下VPF) および構音の経年的変化を調査する。
対象:1989年以降に当院で初回の口蓋形成術を同一術者が施行した329例のうち,4歳から16歳まで定期健診を実施できた104例 (男児52例 女児52例) を対象とした。裂型は両側唇顎口蓋裂 (BCLP) 18例,片側唇顎口蓋裂 (UCLP) 43例,口蓋裂 (CP) 43例であった。
方法:VPF評価法は日本コミュニケーション障害学会口蓋裂言語検査法の4段階評価を用いた。構音障害は構音検査法を実施し,構音動態の観察および聴覚判定から判断した。
結果:1.VPF VPFについては,どの年齢でも手術の適応がない良好およびごく軽度不全例が80~90%と安定していたが,経年的には良好例の減少が全裂型に認められた。2.構音障害 構音障害の有無および種類は裂型によって有意差を認めた。即ち口蓋化構音の出現率はBCLPで著しく多く,次いでUCLPに多かった。一方CPでは側音化構音が多く認められた。矯正歯科治療や顎裂部骨移植による顎形態の改善により,訓練なしに構音障害が消失した例も見られた。構音障害定着例のうち約半数は構音訓練の希望がなく,その全例が口蓋化構音または側音化構音であった。
まとめ:唇顎口蓋裂の治療成績は,全体としてみると安定しているが,経年的に変動している症例も存在した。これらは成長に伴う顔面や咽頭形態,軟口蓋長の変化,アデノイドの退縮等によるものと思われた。長期的な経過観察が行える体制としては,一施設内で多職種によるチームアプローチが重要であり,これにより患者の安定した受診行動が可能になると考えられた。
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© 2015 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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