2003年から2008年までに京都大学医学部附属病院形成外科で口蓋裂手術を施行し，定期的な言語管理を行えた口蓋裂をもつ子ども31例の子音［p，k，t，ɕ，s，ts］の構音習得時期と5歳児の言語成績を調査し，以下のような結果を得た。
1．口蓋裂手術後，系統的構音指導を必要としなかった症例の子音の構音習得順序は［p，k，t，ɕ，s，ts］であり，健常児と同じ順序であった。また各子音の構音習得時生活年齢は健常児と比較して遅れはみられなかった。
2．5歳児において，構音は正常構音が70.9％，口蓋化構音と側音化構音がそれぞれ12.9％，声門破裂音と構音習得の遅れがそれぞれ6.5％であった。鼻咽腔閉鎖機能は，Excellentが54.8％，Goodが32.2％，FairとPoorがそれぞれ6.5％であった。
3．口蓋裂手術後［p］を1年以内に習得した症例の5歳児の鼻咽腔閉鎖機能はおおむね良好であったが，歯茎音［t，s，ts］の構音習得の遅れがみられ，5歳児で構音障害を生じるものが含まれていた。
