日本口蓋裂学会雑誌
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症例
Bifid noseに対し鼻形成術を行った3症例の長期経過
千田 恵理奈上田 晃一光野 乃祐廣田 友香
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2019 年 44 巻 3 号 p. 192-197

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抄録

Bifid noseは,その稀少性や症状の多様性から,手術時期や定型的な術式,重症度分数等,基本的な治療方針が確立されていない。症例ごとに重症度が大きく異なることから,重症度に応じた治療方法の選択が重要である。今回我々はそれぞれ重症度の異なるBifid noseの3症例の長期経過より,重症度の違いによる新しい分類法を考案したため,若干の文献的考察を加えて報告する。
症例は,13歳男児,6ヶ月男児,1ヶ月女児である。それぞれ程度の異なるBifid noseを主訴に当科を初診し,その他の頭蓋顔面の形態異常を認めなかった。我々はそれぞれを,鼻の軟部組織の異常が主体であり鼻軟骨の異常は正中離開のみと軽度なものを軽症,鼻軟骨の異常が主体であり鼻軟骨欠損など鼻軟骨の高度な異常を呈するものを中等症,顔面骨の異常が主体であり高度な鞍鼻を呈するものを重症と定義した。すべての分類での共通する術式は,鼻背部の余剰皮膚を切除し,必要ならば鼻軟骨を直視下に確認し,位置の修正を行うことである。軽症例では単回の余剰皮膚からの真皮脂肪移植と離開した鼻軟骨の正中化を行い,中等症例では複数回の余剰皮膚からの真皮脂肪移植と,離開した鼻軟骨の正中化に加えて,鼻軟骨欠損部位では鼻筋筋膜のマットレス縫合による位置の矯正を行い,重症例では真皮脂肪移植と骨性の再建を施行した。
本報告は3症例のみの経験から考察した方法ではあるが,今後他の症例においても適応できるかどうか検討を重ねていく必要がある。

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© 2019 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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